多くの動物が暮らす緑豊かな山があった。ある日そこへ雷が落ち、山火事になった。火はあっという間に燃え広がり、山は赤く燃え上がった。動物たちは仕方なく燃える山を見ていた。「もう何もかも燃えてしまった。終わりだ。」
「住む場所がなくなって、これからどうしよう。」
動物たちは口々にそう言い、がっかりしてしまった。
( ア )1匹だけ一生懸命消火活動をしている動物がいた。ハチドリ(蜂鸟)だった。動物たちは彼女を笑った。指を指してばかにした。
「今になって『そんなこと』をして何になる?意味のないことを。」
「おまえの口で運べる一滴の水じゃ、火の粉(小火花)さえ消せない。」
するとハチドリは静かに、しかし強く言った。「わたしは、わたしのできることを、しているだけ。」
結局山は全焼し、黒くなってしまった。しかしハチドリが消火活動をしたところだけは黒くならず、そこには1輪(1朵)の花が咲いていた。
他の動物たちは、自分たちの愚かさ(愚蠢)に気づき、恥ずかしくなった。誰もハチドリをばかにする権利などなかったのだ。いや、むしろできることをしなかった自分たちのほうが、笑われるべきものだったのかもしれない。
その後、動物たちはみんなで協力して山に木を植えた。
山はだんだん緑が増えていき、やがて美しい山となったのだった。
61.
文中に「がっかりしてしまった」とあるが、その理由はどれか。A.山は黄色に燃え上がったから | B.雷が落ちてびっくりしたから |
C.何もかも燃えてしまったから | D.仕方なく燃える山を見ていたから |
62.
文中の( ア )に入れるのに最も適当なものはどれか。63.
文中の「そんなこと」の指すことはどれか。A.消火活動をしていること | B.意味のないことをすること |
C.動物たちが口々に言うこと | D.指を指してばかにしたこと |
64.
文中の「恥ずかしくなった」の理由はどれか。A.山が黒くなったから |
B.ハチドリをばかにしてよかったから |
C.消火活動をしたハチドリを笑ったから |
D.ハチドリをばかにする権利があるから |
65.
この文章にテーマをつけるなら、最も適当なものはどれか。A.黒くなった山 | B.ばかなハチドリ |
C.愚かな動物たち | D.ハチドリの一滴 |