1 . いつものように朝刊を配達していた千葉市の田尻隆さんは家から出てきた高齡の男性に声をかけられた。母がべッドから落ちてしまい、自分だけでは起こせない。助けてほしい一、老老介護の sos だった。
無事に終わった時、疑問がわいた。なぜ、自分がいると分かったのですか。男性は微笑んだ。「毎日2時半にはバイクの音がしますから」。新聞は社会と読者をつなぐ。それを配る自分もまた、排気音で社会とつながっていたのだ。田尻さんはそう書いている。
日本新聞協会の新聞配達エッセ一コンテスト(随笔征文大赛)が30回目を迎え、3223編の応募があった。入賞作はどれも、さまざまな人間模様のなかに人の( ア )を伝えている。
秋田市に住む安田沙織さんは思春期前の思い出を書いた。亡き父は雪の中の配達から戾ると、別の仕事へ行くまで、また一眠りした。せめて自分に出来ることを帰ってくるまで冷えきった父の布団にもぐって温めてあげた。「今日はよく眠れたよ、あったかくて」。その言葉が忘れられない。
子どもたちの作品には優しさが溢れている。北九州市の能美になさんは師走のある日、冷たい新聞を手に考えた。感謝の思いを込めて、まだ見たことのない配達員さんにおこづかいでカイロ(暖宝宝)をプレゼントしよう。「今日だけはわたしもサンタさん」。
あしたは月に1度の新聞休刊日。配る人がいて、支える家族がいて、読者の皆さんがいる。新聞が読まれるという光景に、感謝の念を新たにする。
1.
文中の高齢の男性は田尻隆さんがいると分かったのはなぜか。A.毎日同じ時間にバイクの音を聞いているから |
B.毎日田尻隆さんは高齡の男性に新聞を配達するから |
C.每日田尻隆さんは男性のお母さんのお見舞いに行くから |
D.高齡の男性は田尻隆さんと偶然に会ったから |
2.
文中の( ア )に入れるのに最も適当なものはどれか。3.
文中の安田沙織さんは父のためにやったことはどれか。A.温かい言葉を掛けてあげること |
B.父の布団に入って温めてあげること |
C.父のかわりに雪の中の配達をすること |
D.寒い時に温かい料理を作ってあげること |
4.
文中の「今日だけはわたしもサンタさん」の意味はどれか。A.能美になさんはクリスマスが好きでサンタさんになりたがる。 |
B.能美になさんは配達員さんからプレゼントをもらいたがる。 |
C.能美になさんはよく会う配達員さんにクリスマスプレゼントを贈りたがる。 |
D.能美になさんは感謝の気持ちを込めて配達員さんにプレゼントを贈りたがる。 |
5.
この文章に題をつけるとしたら一番いいのはどれか。A.新聞の役割 | B.老老介護の現状 | C.子どもたちの優しさ | D.新聞配達エッセ一 |