10 . 元陸上競技選手で、400メートルハードルの日本記録保持者・為末大さんは走る哲学者1. 1 も呼ばれる。語る言葉は輝かしい実績と相まって(相辅相成)人を引きつけるが、子どもたち2. 2 向けた著書『生き抜くチカラ』には大人の心にも響く人生哲学が織り込まれている。
身長170センチで、陸上選手としては3. 3 (めぐ)まれていなかった。だからこそ、自分の身体や特性4. 4 生かすため、戦略を考え抜き、世界に躍り出た。著書には、その経験からつかんだ五十のメッセージが並んでいる。
その中の一つに「努力は夢中(痴迷)に5. 5 (勝てる)ない」という言葉がある。為末さんは「本当に強いのは、苦しい努力を6. 6 (がんばる)て、根気よく7. 7 (続)ける人よりも、そのことが8. 8 (おもしろい)て、つい夢中になっていたという人」と述べている。
努力が9. 9 (大切)のは言うまでもないが、つらく苦しいイメージがつきまとう(相随)。でも、本当に好きなことなら、努力しているなんて感じずに、時間も疲れも忘れて没頭する。「夢中」は無意識のうちに「努力」を飛び越えていき、10. 10 (強い)につながっていくのだろう。