1 . 人間の感情はどこからか漠然と湧いてくるようなイメージがありますが、実際は脳の働きによって生まれます。具体的には、脳の「扁桃核」という部分が、人間の感情を司って(支配)います。
皆さんは、目の前の対象が「好き」か「嫌いを、自分がその場の感情で判断していると思うかもしれません。でも、(ア)、脳が過去の記憶に基づいて「快・不快」を決定しています。
脳の海馬は、これまでに得た膨大な情報を長期記憶として蓄積するかどうか判断する役割を果たしました。この時、判断に影響を与えるのが扁桃核です。その情報が扁桃核を刺激するのであれば、海馬は重要なデータと判断し、長期記憶の倉庫に送ります。そして新たに情報が入ってくると、脳の前頭前野(前額区)にあるワーキングメモリ(工作存儲器)と呼ばれる機能が働き、大脳皮質に保存された記憶と対照して「快・不快」を決定します。よって初対面の相手でも、脳が過去のデータを引き出して(提取)、「昔よく怒鳴られた上司に似ている」と判断すれぽ、「この人は嫌いだ」という感情が生まれます。(イ)、「以前優しくしてくれた人に似ている」と判断すれ、「この人は好きだ」という感情が生まれます。「上司や仕事相手と相性が悪い(不投缘)という悩みを抱える人は多いと思いますが、そこには脳の働きが介在しているのです。
1.文中の(ア)に入れるのに最も適当なものはどれか。A.だから | B.確かに |
C.つまり | D.実は |
A.新たに入ってきた情報を脳の扁桃核に蓄積するもの |
B.情報を長期記憶として蓄積するかどうか判断するもの |
C.新たな情報を記憶と比べ、「快・不快」を決定するもの |
D.これまでに得た膨大な情報を長期記憶として蓄積するもの |
A.脳が過去のデータから相手の情報を引き出せないから |
B.脳が相手を「昔の嫌いな上司に似ている」と判断したから |
C.脳が相手を「優しくしてくれた人に似ている」と判断したから |
D.「上司や仕事相手と相性が悪い」という悩みを抱えているから |
A.その上 | B.さらに |
C.反対に | D.すると |
A.人間の感情は脳の働きによって生まれる |
B.初対面の相手を記憶で判断するのはよくない |
C.「上司や仕事相手と相性が悪い」と思うのは錯覚だ |
D.「好き・嫌いは人間がその場の感情で判断している |
2 . 自分が生きているのは昨日でも明日でもなく、「今日」でしかない。今日一日を大切に生きなければ。
このことを痛感したのは、2004年でした。私は突然、脑梗塞に襲われたのです。左半身が完全に麻痺し、寝たきり(卧床不起)の状態となりました。起き上がることも、自分で食事をすることも、しゃべることさえよくできません。できるのはただただ泣くことだけでした。まさに絶望。死の恐怖に怯え、自分の今後を考えるのが辛くてたまりません。
しかし、ある時ふと(忽然)思ったのです。こんなに嫌なことを考えられるのならば、良いことだって考えられるはずではないか、と。
それまで、「寝たきりの自分は、誰の何の役に立たない」と思っていました。でも、それは違っていました。私がただ笑うだけで、家族も看護師さんも喜んでくれました。自分の存在が価値あるものだと、改めて気づかされたのです。以後、私の考え方は変わりました。(ア)一日一日、自分の時間を大切に生きようと決めたのです。私は起きている時間はすべて、リハビリ(康复治疗)に当てました。結果、病気前と遜色のないほどに回復しました。
病気をして以降の人生は、神様がくれたようなものです。私はその時間を一秒でも無駄にしないと、それまでの職をきっぱり辞め、以前からの希望だった児童文学作家の道を歩むことを決めました。
1.文中の「このこと」の指すのはとれか。A.脳梗塞に襲われたこと |
B.寝たきりの状態になったこと |
C.病気になると、何もできなくなること |
D.今日一日を大切に生きなければならないこと |
A.落ち込むより、前向きに考えたほうがいい。 |
B.よいこともできるだけ考えないといけない |
C.嫌なことも良いことも考えたほうがいい |
D.嫌なことをなるべく避けないといけない |
A.それで | B.そして |
C.そのかわり | D.そのため |
A.時間をすべてリハビリに使いたいと思う気持ち |
B.時間を大切にして、仕事を辞めたいと思う気持ち |
C.時間を本当にやりたいことに使いたいと思う気持ち |
D.体を病気前と遜色のないほどに回復したいと思う気持ち |
A.前向きに笑おう |
B.体を大切にしよう |
C.残りの人生を楽しもう |
D.自分の時間を大切に生きよう |
3 . 授業開始前、教室に立っていると、学生たちが外部から建物の中に入ってくるのが見える。そのほとんどが、ドアの取っ手(把手)を離す前に、後ろから来る人がいるかどうかを確かめて、ドアをそのまま押さえていたり、離していたりしている。その小さい行為が、それまでの何の変哲もなく(平凡之至)見えていた学生たちの顔を一瞬、美しいものに変える。思いやりとは、魅力と無関係でない。
文明の所産は、数え切れないほど多くの便利さを私たちに与えてくれた。(ア)、自動ドアがそうである。両手にいっぱい荷物を提げていても、その前にたちさえすれば自動的に開き、しかも自分で閉める必要のないものだ。その便利さをちりガたく思った人も多いことだろう。
しかしながら、他方で、自動ドアが人間から奪ったものがあることを忘れてはならない。「自分の後に続く人を思いやる心」である。この世の中は自分だけで成り立っているのではないという、極めて簡単明瞭な事実。自分以外に他人がいて、その人もまた、自分と同じく優しさを求めて生きているという事実。
この、誠に(イ)なことが、ドアの開閉のたびに思い出されるのと、出されないのとで、いつか人の心は大きく変わっていくに違いない。
1.文中に「学生たちの顔を一瞬、美しいものに変える」とあるが、その理由はどれか。A.学生たちが後ろに入がいるかどうかを確認してから行動したから |
B.学生たちが外部から建物の中に入ってくるのが見える |
C.学生たちがドアの取っ手をそのまま押さえていたから |
D.学生たちがドアの取っ手を離したから |
A.ただし | B.一方 |
C.ところが | D.例えば |
A.その便利さをありがたく思う |
B.自分の後ろに続く人を思いやる心 |
C.自動ドアに対する感謝の気持ち |
D.文明の所産が与えてくれた便利さ |
A.自分以外の他人 |
B.筆者 |
C.便利さをありがたく思う人 |
D.学生たち |
A.便利 | B.不便 |
C.基本的 | D.複雑 |
A.よう | B.そう | C.から | D.ため |
A.もの | B.こと | C.ところ | D.つもり |
A.たちまち | B.ちっとも | C.ともに | D.つねに |
A.幸い | B.新た | C.確か | D.盛ん |
A.向いている | B.磨いている | C.頑張っている | D.断っている |
A.いらっしゃいます | B.おいでになります | C.参ります | D.伺います |
「お茶をお願いします。」
A.いたし | B.なさい | C.いただき | D.召し上がり |