1 . 日本では、1960年ごろから町に道路やビルが次々につくられ、公園や空き地が少しずつ削られてきた。このような町の変化によって、屋外で子どもの遊ぶ場所が減少した。(ア)、子どもの遊び方も変化してきた。昔は子どもは外で遊ぶことが多かったが、今は一人で、室内でテレビを見たり、ゲームをしたりすることが多い。
このことは、二つの点で子どもたちに重大な影響を与えた。一つ目は「体力」への影響である。子どもの体力と運動に関する調査では、走る、跳ぶ、投げるなどの基礎的な体力は昔より落ちている。外で体を動かして遊ぶ機会が減ったことが、最大の原因だと考えられている。
二つ目は「付き合い方」への影響である。昔は、近所の子どもが一緒に外で遊び、年齢や個人による違いを受け入れて、付き合い方を学習した。しかし、今は部屋で一人で過ごす時問が長くなり、人問関係がうまく作れない子どもが増えてしまった。これからも日本の町は発展していくだろうが、それが子どもに与える影響も忘れてはいけない。
1.このことは、何を指しているか。A.昔は子どもが家の外で遊ぶことが多かったこと |
B.子どもが一人で家の中で遊ぶようになったこと |
C.以前に比べて子どもの体力がなくなってきたこと |
D.町の中に公園や子どもの遊ぶ場所が増えてきたこと |
A.しかし | B.ところで | C.それから | D.そして |
A.家で一人で遊ぶ時間が少なくなって、体力が落ちている |
B.体を動かさないで遊ぶことが増えて、体力が落ちている |
C.友達との遊びの中で、よい付き合い方が学習できるようになった |
D.テレビやゲームから、よい付き合い方が学習できるようになった |
A.部屋で一人で過ごしても、人間関係もうまく作られる |
B.子どもの体力が落ちている最大の原因は外で体を動かすのだ |
C.近所の子どもが一緒に外で遊び、人間関係の作り方が学習できる |
D.公園や空き地が少しずつ増えたが、屋外で子どもの遊ぶ場所が減少した |
A.町が発展しない場合、子どもにも悪い影響が出ることを忘れてはいけない |
B.子どもに悪い影響を与えてしまうことはあるが、町は発展したほうがいい |
C.町の発展が、子どもに悪い影響を与えていることに注意しなくてはいけない |
D.子どもに悪い影響が出ているので、町を発展する前の状態に戻したほうがいい |
2 . 個性の重視ということが注目されるようになって以来、「子どもの興味を尊重し、一人一人の子どもが興味を持つこと、「やってみたい」ということを好きにやらせることが、個性の重視である」という解釈が広がりました。しかしその結果、社会生活上のしきたり(注 1)や習慣を教える機会を失ったと悩む教師と、好きなことしかやりたがらない子どもをつくってしまったということはないでしょうか。個性の重視とは、「二人と同じ人間はいない、つまり人は一人一人異なる存在である。(ア)、一人一人が異なった興味や価値観を持つのは当然である」という考え方を肯定する人間観を意味しているのです。
(中略)
子どもの興味や関心は日々変化する可能性があります。しかし、何らか(注 2)の形でその対象を知る機会がなかったなら、興味を持つこともないのです。小学生はまだまだ経験の幅が狭いものです。ですから、おのずと(注 3)興味や関心を持つ対象も、非常に限られた範囲のものになります。さまざまなものに興味を持つのを待つばかりでなく、興味が持てるように、さまざまな体験ができるようにすることが大切です。
(渡辺三枝子『キャリア教育-自立していく子どもたち』による)(注 1)しきたり:昔からの決まり
(注 2)なんらかの:何かの
(注 3)おのずと:自然と
1.文中の「その」の指すことはどれか。
A.「やってみたい」ということを好きにやらせること |
B.一人一人の子どもが興味を持つこと |
C.子どもの興味を尊重すること |
D.個性の重視への解釈が広がったこと |
A.すると | B.でも | C.だから | D.それに |
A.個性の重視ということが間違って解釈されている点 |
B.個性の重視ということが注目されている点 |
C.個性の意味についての解釈が定まっていない点 |
D.教師が社会生活上のルールを教えていない点 |
A.それぞれの望むことを自由にさせる。 |
B.それぞれの興味や価値観を尊重する。 |
C.他人より優れた点を高く評価する。 |
D.他人との違いが大きいほうがよいとする。 |
A.子どもの興味や関心は変わりやすいので、注意深く観察することが必要だ。 |
B.子どもの興味や関心が広がるように、多様な体験の機会を与えることが重要だ。 |
C.子どもの自主性を尊重し、自身で新しい興味や関心を見つけ出すのを待つべきだ。 |
D.子ども自身が見つけた興味や関心に注目し、それを集中して経験させたほうがよい。 |
3 . スポ一ツクラブは運動するために行くところだ。しかし、私の母にとっては、それ以上の場所であった。85歳になる母は、今、スポーツクラブに通っている。実は、母は半年前に転んで腕を骨折し、それ以来、すっかり元気をなくしてしまった。食欲が落ち、体重も減った。骨折は3週間で治ったが、腕を動かすための訓練のための病院へはあまり行きたがらなかった。
( ア )、そんな母がある日、友達に誘われて近くのスポーツクラブに通い始めた。すると、たった1か月でまったく違う人のように元気になったのだ。病院でもスポーツクラブでも、無理をせずにできるトレーニングを一人一人に考えてくれる。しかし、元気な若い人たちと同じ場所で運動したり、同じぐらいの年の仲間と一緒にがんばったりすることは、スポーツクラブだからできた。そして、それが、母の生きる力をひきだしてくれたのだろう。
スポーツクラブは運動するためだけの場所ではない。それ以上の価値があるのだ。わたしは、今、母の通うスポーツクラブに心から感謝している。
1.母が元気をなくした原因は何か。A.食欲が落ちたから |
B.体重が減ったから |
C.腕を骨折したから |
D.怪我が治らないから |
A.ところが | B.それに | C.それから | D.ところで |
A.無理をせずにできるトレーニングを自分用に作ってもらったから |
B.若い人たちがいるところで、運動したり、仲間とがんばったりできたから |
C.たった1か月で効果がでるようなトレーニングを考えてもらったから |
D.元気な人と仲間になったり、若い人たちとおなじ運動をしたりしたから |
A.母は運動が好きだから、スポ一ツクラブに行く。 |
B.病院よりスポ一ツクラブでのトレーニングは母の体にいい。 |
C.スポーツクラブは運動する場所なので、ほかの価値がない。 |
D.母はスポーツクラブに通い始めて、1か月で元気になった。 |
A.自分は生きる価値のある人間だと気づかせてくれる。 |
B.運動不足にならないようにしてくれる。 |
C.怪我を早く治す方法を考えてくれる。 |
D.生きる力を引き出してくれる。 |
4 . 日本語では、「ことにする」と「ことになる」は見た目が似ているが、伝わる意味は違っている。「ことにする」を使うと、話し手の意志で決めたということが伝わる。「ことになる」を使うと、話し手の意志に関係なく、自然にそういう結果になったということが伝わる。
例えば、自分の転勤について、「大阪に赴任することになりました」と言えば、会社の決定あるいは上司の命令で赴任するということを伝える。この場面では、話し手の意志とは関係なく、そういう結果になったという意味が強くなる。一方、「大阪に赴任することにしました」と言うと、自分で決めたということを伝える。
では、「彼女と結婚することになりました」という言葉も、話し手の意志ではなく、本当は結婚したくない、周りの人に強制されたから結婚するという意味なのだろうか。実はこの場面では、本当は話し手の意志で決めたことでも、婉曲的に表現するために「ことになる」が使われているのだ。日本人は自分の意志で決めておきながら、「結婚することになりました」と言うのである。
( ア )、「ことにする」と「ことになる」は文字で見るとたった一文字の小さな違いだが、どのような言い方をするかによって、コミュニケーションの上では大きな違いになるのである。
1.文中に「話し手の意志で決めた」とあるが、その意味はどれか。A.話し手が自然にそうしている |
B.話し手がそうしたいと思ってやっている |
C.話し手はやりたくないのにやっている |
D.話し手の意志が強いということ |
A.私は上司に命令されたから大阪に転勤することになった |
B.会社の決定によって、私は大阪に行くことになった |
C.仕事でミスしてしまったので、大阪に飛ばされた |
D.大阪の仕事に興味を持っているので、大阪に赴任することにした |
A.「大阪に赴任することになりました」を言う場面 |
B.「大阪に赴任することにしました」を言う場面 |
C.「彼女と結婚することになりました」を言う場面 |
D.「彼女と結婚することにしました」を言う場面 |
A.このように | B.そのように | C.そこで | D.それで |
A.「ことにする」と「ことになる」は文字で見ると違うが、実の意味はまったく同じだ |
B.「ことにする」と「ことになる」はどちらも単に決まりを教える言い方である |
C.「ことにする」は自分の意志を強く伝えるもので、強制された意味がない |
D.「ことにする」より「ことになる」のほうが話し手の意志が伝わる |
5 . よい文章が書けるようになりたいと思う人が大勢いる。しかし、よい文章とは何かを考えたことがあるだろうか。人によって答えが違うかもしれないが、読み手の満足度から考えると、少なくとも「読みやすい文章」「面白い内容」という二つの要素がある。
戸惑う(困惑)ことなく流れるように読み進められる「読みやすい文章」はよい文章の基礎である。それでは、読みやすい文章とはどんなものなのだろうか。話し方の順序が通っている、文法が正しい、不要な言葉がないといった特徴がある。このような読みやすい文章の形をとってはじめて、読み手は書き手の思いが理解できるのだ。
( ア )、どれほど読みやすい文章を繰り広げても、その奥にある内容がつまらなければ、誰にも読んでもらえない。そのため、面白い内容の創出も重要である。どんどん広がる世界の中で物事をどう捉えていくか、どのように考えているか、どれほど共感できるか、そういうわれわれの生き方とも言えるものがそこにかかわっているのである。
面白い内容を読みやすい文章で表現することで、よい文章になるのだ。二つの要素がどれか一つでも欠けると読み手は( イ )を感じ、よい文章と判断してくれない。
1.文中に「読みやすい文章」とあるが、その特徴に合わないものはどれか。A.意味が重複せず無駄がない | B.前提と結論が結びついている |
C.具体例をたくさん示している | D.副詞が適当な位置に置いてある |
A.そのうえ | B.たとえば | C.あるいは | D.いっぽう |
A.面白い生き方をすること | B.面白い内容を作り出すこと |
C.読み手に喜んでもらうこと | D.書き手の考えが伝わること |
A.不满 | B.满足 | C.不安 | D.責任 |
A.「読みやすい文章」であれば、どのような内容でも面白い |
B.「読みやすい文章」は、「面白い内容」であれば自然に生まれる |
C.「読みやすい文章」を使うことで、「面白い内容」が人に伝わる |
D.「読みやすい文章」を使っていれば、さらに「面白い内容」になる |
6 . ある春の日、病院の待合室に、順番を待つ人たちが並んでいました。どの人たちも、みんな黙っています。「はやく自分の順番が来ないか!」と①いらいらしていたのです。
そこに、赤ちゃんを抱いた母親が入ってきました。そして、さっきから機嫌が悪そうな顔をしている男の人の隣に、この母親が座りました。すると、赤ちゃんがニコッと笑って男の人を見たのです。男の人も赤ちゃんの顔を見ました。この男の人はどうするかと思いますか。この男の人は赤ちゃんに笑い返したのです。そして、この赤ちゃんのお母さんと、赤ちゃんのことや自分の孫のことなど、いろいろとおしゃべりを始めたのです。やがて、待合室にいた全員がおしゃべりを始めて、それまでのいらいらしていた空気が②楽しい雰囲気に変わりました。
ある大学の心理教授は笑顔について、③ ように言っている。「笑顔を見せる人は、見せない人よりも、仕事、教育などの面で効果を上げる。笑顔には怒っている顔よりもよい影響があるようだ。」
では、笑顔を見せたくない時には、どうすればよいか。方法は二つある。まずは、無理にでも笑ってみることだ。そして、1 人でいる時なら、まるで幸福な人のように行動してみるのだ。そうすると、ほんとうに幸福な気持ちになるから④不思議だ。
1.①「いらいらしていた」とあるが、なぜみんないらいらしていたのか。A.みんなが黙っているから | B.待合室がうるさいから |
C.待つ時間が長いから | D.母親と赤ちゃんが入ってきたから |
A.怖い顔で赤ちゃんを見た | B.赤ちゃんを無視した |
C.笑顔で赤ちゃんを見た | D.真面目な顔で赤ちゃんを見た |
A.順番を待つ人たちがいなくなったから |
B.赤ちゃんの笑顔でみんながおしゃべりを始めたから |
C.赤ちゃんが泣いたから |
D.男の人がいなくなったから |
A.この | B.その | C.あの | D.どの |
A.笑顔を見せる人は見せない人より仕事がよくできること |
B.無理に笑うと仕事の面でよい影響があること |
C.幸福な人と一緒に行動すると自分も幸福な幸せな気持ちになること |
D.幸福な人のように行動すると本当に幸せな気持ちになること |
7 . 私にとって音楽は空気や水ほどのものではない。それがないと生きていけない、というほど大切なものだとは思わない。けれども、受験勉強に苦しんでいたとき、友人と別れてさびしく思っていたとき、わたしは音楽からどれだけ力をもらったことか。そんなときに聞いて曲、歌った歌は今も忘れることができない。
( ア )、ある年大きな災害が起こって国中の人々が悲しんでいたとき、歌を歌うのはよくない、音楽の演奏はやめるべきだという声があがった。そして、私たちの生活から音楽が消えてしまった。そのとき、私には、世界がいっそう暗くなったように思われた。もとの明るい生活はもう戻ってこないかもしれないと思った。このように感じた人は私だけではなかったようだ。しばらくすると、「苦しみを乗り越えるために、やっぱり歌おう」という声が大きくなり、人々がまた歌を歌い始めた。歌から生まれる力、音楽の力が改めて注目されたのだ。
1.文中に「音楽からどれだけ力をもらったことか」とあるが、その意味はどれか。A.音楽はあまり大きな力をくれなかった |
B.音楽のおかげで元気になった |
C.どれぐらい音楽の力が大きいかよくわからなかった |
D.音楽がないと生きていけない |
A.それで | B.ですから | C.しかし | D.また |
A.音楽がない世界は前よりもっと暗いと感じた |
B.音楽が消えても明るい生活が戻ってくると感じた |
C.災害が起こったときに歌を歌うのはよくないと感じた |
D.もとの明るい生活に早く戻りたいと感じた |
A.大きな災害が起こったとき、歌を歌うのはよくないという声もある |
B.友人と別れたときに聞いた曲を覚えるのは難しい |
C.「私」の生活に音楽は一時期消えてしまった |
D.歌から生まれる力は災害後に改めて注目されたのだ |
A.水や空気と同じように大切なもの |
B.忘れることができるもの |
C.人に力を与えるもの |
D.災害のときしか注目されていない |
8 . (二)
昔と比べて、時間の流れが速いと感じるようになりました。私たちはよく「なるべく早くやってください」「急いでほしい」と言われ、時間に追われるかのように生活しています。物理的には同じ時間のはずなのに、私たちの心的な時間は短くなったように感じてしまうためでしょう。暇な時でも何かをしていないと落ち着かなくなります。私たちはそんなふうになっているのです。
世の中が便利になり、何事も効率よく行うことができるようになっています。そんな中、仕事が早い人が優秀だと思われています。そのため、人より遅くなってしまえば自分の優位(优势)が保てなくなってしまうという不安を覚えるでしょう。いつの間にか、カフェでゆっくり本を読んだり、考えごとをする時間がなくなってしまったのです。
( ア )、このまま「速さ」を求め続けていけば、豊かな心とは真逆になってしまいそうです。何も考えずにただ決められたことをしていても豊かな人生は送れません。ゆっくり生きるからこそ、焼き立てのパンの香りに惹かれたり、きれいな夜空の星を楽しんだりして、人生をよりよく味わうことができるのです。私たちは、残りの人生を豊かに生きるために、「ゆっくりした時間」を作る必要がありそうです。
1.文中に「時間の流れが速いと感じる」とあるが、その意味はどれか。A.やることが多くて時間が短く感じる。 |
B.好きなことをしていると時間が短く感じる。 |
C.仕事を効率よく行って勤務時間が短くなっている。 |
D.科学技術の発展によって物理的な時間が短くなっている。 |
A.忙しさに追われたくない状態 |
B.失った時間を取り戻したい状態 |
C.何もしないと時間が速く感じる状態 |
D.時間をゆっくり過ごすことができない状態 |
A.貴重な時間を無駄にすること |
B.遅れれば相手に勝てないこと |
C.本を読まなければ評価されないこと |
D.競争に負けたらお金を稼げないこと |
A.そして | B.しかし | C.だから | D.それに |
A.時間を大切にし、休む時にも効率化を考えたほうがいい。 |
B.人生を豊かにするには、のんびり過ごしたほうがいい。 |
C.忙しくても、ゆっくり過ごす時間をできるだけ持ったほうがいい。 |
D.激しい競争に勝つためには、早く時間の大切さを認識したほうがいい。 |