1 . ここ数年、わたしにはクジラと象を撮影する機会がとても多かった。特に意識的に選んだつもりはないのに、結果としてそうなってきた。理由を考えてみると、これは、クジラや象と深く付き合っている人たちが皆、人間としてとても面白かったからだ。
人種も職業もそれぞれ異なっているのに、彼らには独特の共通した雰囲気がある。彼らは、クジラや象を、自分の知的好奇心の対象とは考えなくなってきている。クジラや象から、何かとてつもなく大切なものを学び取ろうとしている。そして、クジラや象に対して、畏敬の念を抱いているように見える。
人間がどうして野生の動物に対して畏敬の念まで抱くようになってしまうのだろうか。この、人間に対する興味から、わたしもクジラや象に興味を抱くようになった。そして、自然の中でのクジラや象との出会いを重ね、彼らのことを知れば知るほど、わたしも、クジラや象に畏敬の念を抱くようになった。
今では、クジラと象は、わたしたち人類にある重大な示唆を与えるために、あの大きな体で(現在の地球環境では、体が大きければ大きいほど生きるのが難しい)数千万年もの間この地球に生き続けてきてくれた、とさえ思っている。
大脳新皮質の大きさとその複雑さから見て、クジラと象と人はほぼ対等の精神活動ができると考えられる。( ア )、この3種類は、地球上で最も高度に進化した「知性」を持った存在だといえる。実際、この3種類の誕生から、成長過程はほぼ同じで、あら冲る動物の中で最も遅い。1歳は1歳、2歳は2歳、15、16歳でほほ一人前になり、寿命も60、70歳から長寿のもので100歳まで生きる。
1.
文中に「そう」とあるが、その指すことはどれか。A.クジラや象を撮影する機会がとても多くなってきた。 |
B.クジラや象を意識的に選んで撮影するようになってきた。 |
C.クジラや象と深く付き合うようになってきた。 |
D.クジラや象を人間として面白くなってきた。 |
2.
文中に「独特の共通した雰囲気」とあるが、どのような雰囲気か。A.クジラと象と人がよく似た雰囲気 |
B.クジラや象に対して、知的な好奇心を感じている雰囲気 |
C.クジラや象に畏敬の念を抱いているような雰囲気 |
D.クジラや象を愛するあまり、人間を嫌悪する雰囲気 |
3.
文中の( ア )に入れるのに最も適当なものはどれか。4.
文中に「ほぼ一人前になり」とあるが、何の意味か。A.だいたい成人前になる | B.だいたい成人になる |
C.だいたい一人の分が食べられる | D.だいたい一人の前で食べられる |
5.
この文章の内容に合っているものはどれか。A.クジラと象は人間に対して畏敬の念を抱く |
B.野生動物は体が大きいほど精神活動が複雑になる |
C.クジラと象と人は地球上で最も高度に進化した「知性」を持っている |
D.クジラと象は人間の成長より遅い |