1 . ポチの鳴き声でぼくは目が覚めた。
ねむたくてたまらなかったから、うるさいなとその鳴き声を怒っているまもなく、真っ赤な火が目に映ったので、驚いて両方の目をしっかり開いて見たら、戸だな(橱柜)の中じゅうが火になっているので、①二度驚いて飛び起きた。そうしたらぼくのそばに寝ているはずのおばあさまが何か黒い布のようなもので、夢中になって戸だなの②火をたたいていた。
(中略)
「おばあさま、どうしたの?」と聞いてみた。
おばあさまは戸だなの中の火の方ばかり見て答えようともしない。部屋の中は、障子も、壁も、床の間も、違いだなも、昼間のように明るくなっていた。おばあさまの影法師(人影)が大きくそれに映って、化け物(怪物)か何かのように動いていた。
ただおばあさまがぼくに一言も物をいわないのが変だった。急に唖になったのだろうか。そしていつものようにはかわいがってくれずに、ぼくが近寄ってもじゃま者扱いにする。
(中略)
火事なんだ。おばあさまが一人で消そうと思っているんだ。③それがわかるとおばあさま一人ではだめだと思ったから、ぼくはすぐ部屋を飛び出して、おとうさんとおかあさんとが寝ている離れの所(离开主建筑的独立建筑物)へ行って、
「おとうさん……おかあさん……。」と思いきり大きな声を出した。
ぼくの部屋の外で鳴いていると思ったポチがいつのまにか(不知不觉)そこに来ていて、きゃんきゃんとひどく鳴いていた。ぼくが大きな声を出すか出さないかに、おかあさんが寝卷き(睡衣)のままで飛び出してきた。
「どうしたというの?」とおかあさんは内緒話のような小さな声で、ぼくの両肩をしっかり押さえてぼくに聞いた。
「たいへんなの……。」
④「たいへんなの、ぼくの部屋が火事になったよう。」と言おうと思ったが、どうしても「たいへんなの。」きりであとは声が出なかった。
(有島武郎「火事とポチ」)
1.「①二度驚いて」はいつといつか。A.目が覚めた時とねむたくてたまらなかった時 |
B.起きた時と戸だなを開けた時 |
C.ポチを見た時とおばあさまを見た時 |
D.真っ赤な火が目に映った時と戸だなの中の火を見た時 |
A.おばあさまが料理をするために |
B.ポチが火事を知らせるために |
C.おばあさまが火を消すために |
D.ポチが怪物と戦うために |
A.ポチがいつのまにかそばに来ていること |
B.おばあさまが火事を起こしたこと |
C.離れにお父さんとお母さんがいること |
D.おばあさまが火事を一人で消そうと思っていること |
A.ねむくてたまらない様子 | B.ショックを受けている様子 |
C.感動している様子 | D.おもしろがっている様子 |
A.ポチは鳴き声で火事のことを知らせた | B.ポチはうるさい犬だ |
C.おばあさまが急に唖になった | D.普段ポチは僕のそばに寝ている |
2 . 子供たちは、春休みに入り、7ヶ月(44 )に岩手の祖母のところに行く準備をしています。宿題もなく、それに今年は三人ともそろって卒業も入学もないため、気軽な春休みです。(45 )岩手の旅も手足を(46 )存分に楽しむことができます。次女もみんなといっしょに旅ができるのはうれしいのですが、ただひとつ(47 )があるとすれば、往復の特急の窓が開かないことです。それを(48 )、次女はさびしくなってしまいます。
『新編国語総合春は夜汽車の窓から』1.
A.ぶり | B.たび | C.ごと | D.おき |
A.だから | B.それに | C.もっとも | D.つまり |
A.飛ばして | B.伸ばして | C.曲げて | D.動かして |
A.望み | B.苦しみ | C.悩み | D.喜び |
A.見れば | B.聞こえて | C.すると | D.思うと |
3 . はじめて訪れる土地を移動する時、我々は地図なしでは目的の場所を発見することができない。いくら歩きまわっても数時間の探求の経験 44 では、未知の土地全体を表象するような、確かな空間のイメージをつくりあげることはできまい。地図を見ることで、初めて自分の位置、そしてそのまわりにひろがる空間の具体的な像が描ける。
45 、熟知した街では事情がまったくことなる。はじめての道を発見しても、それが全体の空間のなかでどのあたりに位置するのかはすぐにわかる。近道をしたり、いつもとはことなるルートを取ったりと、自由自在に空間のナビゲーションを楽しむことも 46 。慣れ親しんだ光景に満たされた空間のなかならば、考えごとをしながらでも知らぬ間に目的地に達することができる 47 である。
48 ような体験は、我々がこころのなかに「地図」をもっていることを示している。
(佐々木正人『からだ:認識の原点』東京大学出版会)
1.A.から | B.の | C.見 | D.し |
A.ところで | B.ことなる | C.すると | D.それから |
A.できない | B.できる | C.可能 | D.ない |
A.もの | B.はず | C.こと | D.の |
A.そう | B.あの | C.この | D.どの |
4 . あすは、わが子の入学試験の発表があるという、その前の晩は、親としての一生のなかでも、いちばん落ち着かなくてつらい晩のひとつにちがいない。もう何十年もまえ、ぼくが中学の入学試験をうけたとき、発表の朝、父がこんなことをいった。「お前、きょう落ちていたら、欲しがっていた写真機を買って 」ふとおもいついたといった調子だったが、それでいて、なんとなくぎごちなかったへんなことをいうなあ、とおもった。おとうさんは、ぼくが落ちたらいいとおもってるのだろうか、という気がした。そのときの父の気持ちが、しみじみわかったのは、それから何十年もたって、こんどは自分の子が入学試験をうけるようになったときである。おやじも、あの前の晩は、なかなか寝つかれなかったんだな、とそのときはじめて気がついた不覚であった。おやじめ、味なことをやったなとおもった。あまり好きでなかったおやじが、急になつかしくなった。(中略)もし入学試験に落ちたら、いちばんつらいのは、もちろん親よりも本人である。それを、①親が失望のあまりついグサッと胸につきささるようなことをいったら、ということになる。よし、おやじにまけるものかと決心した。ぼくはすぐ感情を顔に出し怒り声になるタチである、落ちたときいた瞬間にいう言葉を、二、三日前から、ひそかに②練習した。「そうか( ③ )、こんなことぐらいでがっかりするんじゃないよ」くりかえしているうちに、自分が、まず落ち着いてきたのが妙だった。
1963年2月3日付朝日新聞朝刊による
1.①「親が失望のあまりついグサッと胸につきささるようなことをいったら」のあとには言葉が省略されている。どんな言葉を続けたら意味がよく通るか。
A.息子がかわいそうだ |
B.息子が安心してしまう |
C.息子が落ち着くだろう |
D.息子が死んでしまう |
A.息子が、試験に不合格になってしまうと困るから。 |
B.自分の不安な気持ちを知られるのがはずかしいから。 |
C.自分が感情をはっきり顔に出してしまうと困るから。 |
D.不合格だろうと思っていることを知られると困るから。 |
A.頭が悪いからだ、それで |
B.お前はだめだ、だから |
C.残念だったな、しかし |
D.よかったな、しかも |
A.さしあげよう | B.くれよ | C.やろう | D.もらおう |
A.親である以上 | B.親になればこそ分かる |
C.もし落ちたら | D.試験に絶対合格 |
だから、よい声を出すには、まず自分の人柄を磨かなければなりません。難しい言葉で言えば、全人的な意味での教養をたいせつにし、自分を一歩ずつ高めていく努力が必要だとされているのです。と同時に、ありのままの自分を素直に表すような努力もしなければなりません。ありのままの自分を素直に表す真実の声を出すには、どうしたらよいでしょうか。
1.文中の(ア)に入れるのに最も適当なものはどれか。
A.けれども | B.実は | C.もちろん | D.つまり |
A.きれいな声だったから。 |
B.にごった、だみ声だったから。 |
C.心を打たれた声だったから。 |
D.優しい声だったから。 |
A.詩を朗読する声を聞いて、白秋の教養が素直に伝わってきたから。 |
B.詩を朗読する声を聞いて、白秋の詩作のすばらしさが素直に伝わってきたから。 |
C.時を朗読する声を聞いて、白秋の声がすばらしくてきれいだと思ったから。 |
D.時を朗読する声を聞いて、白秋の声がにごった、だみ声だと思ったから。 |
A.世界各国に共通する学問 |
B.偏りのない広い知識と豊な心 |
C.ありのままの自分を素直に表す心 |
D.自分を高めていくための両親の教え |
A.ありのままの自分を素直に表すような努力が一番重要だ。 |
B.自分を一歩ずつ高めていく努力が一番重要だ。 |
C.イメージアップをするために、だみ声を真似したほうがいい。 |
D.よい声を出すには、自分の人柄を磨かなければならない。 |
6 . 「わが国にとってこんな悪い時はない」と、みんなは嘆(なげ)きました。ダルガス(人名)もそれを否定することはできませんでした。しかし、「祖国の復興には、こんなよい時はない」と、彼が固く信じていました。
もちろん、それをはっきり口に出して言うことはできませんでした。そんなことを言ったら、戦争に負けたことを喜んでいると、ののしられた(被骂)でしょう。彼は、ただ実行によって自分の信念を示すほかはないと思いました。それで彼は「まったくわが国にとって( ア )時だ。だが、われわれは外に失ったものを内に取り返す(弥补)ことはできる。われわれの生きている間に、( イ )。」と言っていました。
ダルガスは、祖国の復興はまず木からだと思いました。緑の木の茂っている(しげる)国は、必ず栄え、木の乏しい、禿山や荒野の国は、必ず衰えます。いや、木の茂っていることが国の栄えている印であり、木の乏しいことが国の衰えている印です。過去、現在を通じて、世界の国々の実例がはっきりそのことを示している。
1.文中の「それ」の指すのはどれか。A.みんなが嘆いたということ |
B.彼が固く信じていたということ |
C.祖国の復興にはこんな良い時はないということ |
D.わが国にとってこんな悪い時はないということ |
A.自分の考え方は正しくないかもしれないと思ったから |
B.言うのは簡単だが、実行するのは難しいと思ったから |
C.本当のことを言ったら、信じてくれる人が多いと思ったから |
D.自分の考え方を言ったら、みんなにひどく反対されると思ったから |
A.悪い | B.良い | C.大きい | D.寂しい |
A.祖国の荒野と砂地を花咲く所にして見せよう |
B.祖国の広い荒野を立派な工業地帯に変えよう |
C.失われた豊かな土地を必ず敵から奪い返そう |
D.国を豊かにするため、教育を盛んにしよう |
A.戦争に負けた祖国の復興 |
B.過去、現在の世界の国々の実例 |
C.祖国の復興はまず教育から実行すること |
D.国の栄衰は木が茂っているかどうかによって反映されること |
注意:
1.字数为250-300字。
2.格式正确、书写清楚。
3.使用「です・ます」体。
4.文中不得提及有关考生个人身份的任何信息,如校名、人名等。
8 . 郵便局からのご案内
旅行中、うちの郵便ポストに手紙などがたくさん入っていると、このうちは今、誰もいないとすぐわかってしまいます。これはとても危ないですね。
旅行の前の日までに、「不在届け」を郵便局に出しておくと、手紙などはうちへ送りません。「不在届け」はお近くの郵便局にありますので、聞いてみてください。
旅行から帰った後、手紙などを受け取るときは都合のいい曜日や時間が決められるので、とても便利です。
*「不在届け」は無料です。
1.どうして「とても危ないですか」か。A.誰かに手紙を取られてしまうから | B.ポストの中のものがなくなってしまうから |
C.家は留守だとわかってしまうから | D.誰かに手紙を読まれてしまうから |
A.旅行などで長い時間うちにいない人 | B.誰からも手紙をもらいたくない人 |
C.近くに郵便局がない人 | D.旅行から帰ったばかりの人 |
妻:あら、①助かった。ゆっくり行って。
夫:帰りに日曜日の買い物もしてこようか。
妻:そうね。今晩のおかずも、買ってきて、まだ用意していないから。
夫:ああ、いいよ。何にしよう?
妻:何でもいいわ。考えるのが面倒臭い(麻烦)から。
夫:ついでに美智子の靴も買おうか。もう長い間靴履いているようだから。
妻:美智子、大きくなったのかしら。
夫:小さくなった靴を履いていると足によくないだろうからね。
妻:そうね、じゃ、買って。
夫:おふくろがね。ぼくに、お前は父親じゃなくて、まるで母親だよって。
妻:仕方がないわ。私は今論文で忙しいから。
夫:ぼくもいいよ。美智子の世話楽しいから。
妻:私も、博士論文が終わったら、美智子の世話をするわ。
夫:うん。
妻:早く論文を書き終わって、子育ちをしたいわ。
夫:早くしないと美智子が大きくなってしまうよ。
妻:そうね。
夫:じゃ、行ってくるよ。
妻:
1.①「助かった」とありますが、妻はなぜそう言ったのですか。
A.妻は子供が好きではないから |
B.妻と夫と一緒に子供を連れて散歩に行きたくないから |
C.子供は母と一緒に散歩に行きたくないから |
D.妻は忙しくて、子供を連れて散歩にいく時間がないから |
A.いってらっしゃい | B.どういたしまして |
C.お邪魔します | D.お元気ですか |
A.ご飯のための買い物で | B.育児などのことで |
C.論文を書くことで | D.職場を見つけることで |
A.夫は子供を連れて散歩し、晩御飯のための買い物もする |
B.妻は論文の提出期限が迫っているから、家事や育児に必要な十分な時間がない。 |
C.夫婦が相談した結果、妻の論文が完成するまでは、夫が家事と育児に協力すること になったのだ |
D.夫婦は子育てのことでよく喧嘩する。 |