1 . 一枚の紙が鳥や動物、花や草になります。この本の中で紹介したものは、私が自分で考えて作ったものばかりです。皆さん、どうぞ、一度作ってみてください。しかし、私の好きな鳥や動物を本にしてみたらという話があったとき、そうしてみようと思ったのは、私の作ったものをご紹介しようと思ったからではなく、一枚の紙が教えてくれた「遊びの心」を多くの方に知っていただきたいと思ったからです。
私が紙と遊ぶことを始めたのは、入院していた病院のベッドの上で、一匹の象を作ってからでした。何もすることがなくて古い新聞を読んでいると、その中に、紙でいろいろな動物を作る人の話があり、象の作り方が出ていました。読んでいた新聞を使って、私も作ってみました。簡単そうに書いてありましたが、なかなかできません。そして、やっとできた象も、新聞のものとは少し違います。それで、もう一度、もう一度と思いながら、何度も作ってみました。できた象を並べてみて分かったのですが、どの象も、みんな少し違うのです。強そうな象、ちょっと悲しそうな象、疲れて休んでいるように見える象。一枚の紙ですが、本当に面白いものだなあと、その時思いました。
あれから30年。私は自由な時間があると、紙と遊びます。一枚の紙を前に、まず、頭の中でいろいろな絵をかきます。
(ア)、その紙を使って、頭の中でかいた鳥や動物、花や木の形を作ります。こうすればいいかな、こちらの方がいいかな、などと考えながら紙と遊んでいると、私はとても自由な気持ちになっています。
皆さん、どんな紙でもいいです。手に取って、どんな鳥、どんな花になるか考えてみてください。そして、この本と一緒に自由で新しい世界で遊んでみてください。
1.筆者が初めに作ったものはどれか。A.猫 | B.鳥 | C.花 | D.象 |
A.10年 | B.20年 | C.30年 | D.40年 |
A.ここで | B.そこで | C.あそこで | D.どこで |
A.紙と遊ぶこと | B.本を書くこと |
C.絵をかくこと | D.何をしているか分からない |
A.自分の作ったものをみんなに教えたい。 |
B.古い新聞を読んでもらいたい。 |
C.みんなに自分の好きな本を読んでもらいたい。 |
D.自分の折り紙の本を勧めたい。 |
2 . 山路を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とにかく人の世は住みにくい。
住みにくさが高じると、安い所へ引っ越したくなる。どこへ引っ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。
人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない、人である。人が作った人の世が住みにくいと言っても、越す国はない。
越す事ができない世が住みにくいからといって、その中に住んでいる人間は「この世」を住みやすくしなければならない。ここに詩人という天職が出来て、ここに画家という使命が降る。すべての芸術の士は人の世を長閑(舒适)にし、人の心を(ア)にすべきだ。
住みにくい世から、煩いを引き抜いて、美しい世界を写すのが詩である、画である。あるいは音楽と彫刻である。我利私懲の羈絆を掃蕩することができれば、千金の子よりも、万乘の君よりも、すべての俗界の寵児よりも幸福である。
世に住むこと二十年にして、住み甲斐のある世と知った。二十五年にして明暗は表裏のように、日のあたる所にはきっと影があると悟った。三十の今日はこう思っている。-一喜びの深い時悲しみも深く、楽みが大いほど苦しみも大い。これを切り放そうとすると身が持てない。片づけようとすれば世が立たない。金は大事だ、大事なものが殖えれば寝る時も心配だろう。恋はうれしい、嬉しい恋が積もれば、恋をしない昔がかえって(反而)懐かしい。うまい物も食べられなければ惜しい。少し食えば足りない。十分に食えばかえって(反而)不愉快だ。
1.誰が「人の世」を作ったのか。A.鬼が作った | B.神様が作った | C.人が作った | D.自然が作った |
A.「人の世」は住みやすい。 |
B.安い所へ引っ越すことができる。 |
C.「人の世」には詩人もなければ、画家もない。 |
D.住みにくいと言っても、越す国はない。 |
A.豊か | B.貧乏 | C.嫌い | D.くよくよ |
A.千金の子だけが我利私慾の羈絆を掃蕩できる。 |
B.万乗の君は我利私慾の羈絆を掃蕩することができない。 |
C.俗界の寵児は幸福ではない |
D.我利私懲の羈絆を掃蕩できる人は幸せだ。 |
A.二十歳ぐらい | B.二十五歳ぐらい | C.三十歳ぐらい | D.六十歳ぐらい |
3 . ここ数年、わたしにはクジラと象を撮影する機会がとても多かった。特に意識的に選んだつもりはないのに、結果としてそうなってきた。理由を考えてみると、これは、クジラや象と深く付き合っている人たちが皆、人間としてとても面白かったからだ。
人種も職業もそれぞれ異なっているのに、彼らには独特の共通した雰囲気がある。彼らは、クジラや象を、自分の知的好奇心の対象とは考えなくなってきている。クジラや象から、何かとてつもなく大切なものを学び取ろうとしている。そして、クジラや象に対して、畏敬の念を抱いているように見える。
人間がどうして野生の動物に対して畏敬の念まで抱くようになってしまうのだろうか。この、人間に対する興味から、わたしもクジラや象に興味を抱くようになった。そして、自然の中でのクジラや象との出会いを重ね、彼らのことを知れば知るほど、わたしも、クジラや象に畏敬の念を抱くようになった。
今では、クジラと象は、わたしたち人類にある重大な示唆を与えるために、あの大きな体で(現在の地球環境では、体が大きければ大きいほど生きるのが難しい)数千万年もの間この地球に生き続けてきてくれた、とさえ思っている。
大脳新皮質の大きさとその複雑さから見て、クジラと象と人はほぼ対等の精神活動ができると考えられる。( ア )、この3種類は、地球上で最も高度に進化した「知性」を持った存在だといえる。実際、この3種類の誕生から、成長過程はほぼ同じで、あら冲る動物の中で最も遅い。1歳は1歳、2歳は2歳、15、16歳でほほ一人前になり、寿命も60、70歳から長寿のもので100歳まで生きる。
1.文中に「そう」とあるが、その指すことはどれか。A.クジラや象を撮影する機会がとても多くなってきた。 |
B.クジラや象を意識的に選んで撮影するようになってきた。 |
C.クジラや象と深く付き合うようになってきた。 |
D.クジラや象を人間として面白くなってきた。 |
A.クジラと象と人がよく似た雰囲気 |
B.クジラや象に対して、知的な好奇心を感じている雰囲気 |
C.クジラや象に畏敬の念を抱いているような雰囲気 |
D.クジラや象を愛するあまり、人間を嫌悪する雰囲気 |
A.ところが | B.いっぼう | C.なぜなら | D.すなわち |
A.だいたい成人前になる | B.だいたい成人になる |
C.だいたい一人の分が食べられる | D.だいたい一人の前で食べられる |
A.クジラと象は人間に対して畏敬の念を抱く |
B.野生動物は体が大きいほど精神活動が複雑になる |
C.クジラと象と人は地球上で最も高度に進化した「知性」を持っている |
D.クジラと象は人間の成長より遅い |
作家の柳田邦男さんの講演を聴く機会があった。息子を25歳で亡くしてから児童文学に興味を持ち、特に絵本に傾倒しているという柳田さんは(ア 興味深い)話を紹介した。
東京の病院に急性脳症で脳死状態になった2歳の男児が入院していた。悲しみにくれる母にはもう一つの悩みがあった。8歳の姉と5歳の兄に、弟の死をどう( イ )いいのだろうか。相談を受けた小児科医は、イギリスの作家、スーザン・バーレイの『忘れられない贈り物』を2人に読み聞かせる。死を迎える森の穴熊とほかの動物との暖かい交流を描いた物語。話が終わった時、2人の子供は目に( ウ )涙を浮かべ、「死」の重さを理解するという実話だ。
1.「活字離れ」のもっとも適切な意味は次のどれか。
A.識字率が低い。 |
B.書籍の利用率が低下する。 |
C.文字を読み書きする能力が弱い。 |
D.文字媒体の利用率が低下する。 |
A.読書で親子の心の触れ合いを深める。 |
B.読書で心の豊かな子供を作る。 |
C.読書で人間の交流を強める。 |
D.読書で人間と動物の共存を理解する。 |
A.きょうみぶかい | B.きょうみふかい |
C.しゅみふかい | D.しゅみぶかい |
A.分かったら | B.分からせたら |
C.分かるなら | D.分からせるなら |
A.おおいに | B.おおく | C.いっぱい | D.とても |