ぼくは世の中のため、人のために役立つ若者を育てるのは、経営者のやらなければならない仕事だと思っている。しかし、世の中で役立つ若者を育てることが企業の責任だと思っている経営者さんは、今はかなり少なくなった。自分に忠実で、都合のいい人材、金儲けに役立つ人ばかりを育てようとしているように見受けている。
部下を叱れない上司も増えている。叱ったら辞めてしまうかもしれない。手を挙げたら訴えられるかもしれない。叱った責任を取りたくないから、結局何もしない。大人が下の世代に教えなければ、若い人は育たない。後輩が間違った仕事の仕方をしているのに、それを教えてやらない、失敗しても怒らないのは、決して優しさではない。それは愛がないからだろう。
ぼくは違う。弟子をあまりにも厳しく叱る。職人を育てる責任はもちろんのこと、その人間の一生がぼくにかかっていると思うからだ。
ぼくは、就職は結婚と似たものだと思っている。つまり、その人の人生に責任を取るということだ。人を雇うということは、それだけの心の準備が要るだろう。
ぼくの役目(职责)は、長年で積んできた技術と精神のすべてを、次世代の若者に伝えることだ。自分を超える職人を、一人でも育てたいと思っている。
71.
筆者の考えている「経営者のやらなければならない仕事」とはどれか。A.世の中で人のために役立つ若者を育てること |
B.会社で自分に忠実である若者を育てること |
C.会社のために都合のいい人材を育てること |
D.金儲けに役立つ人ばかりを育てること |
72.
文中の「部下を叱れない上司Iが結局何もしないのはなぜか。A.叱ったら、会社を辞めなければならないから |
B.叱っても聞いてくれないから |
C.叱った責任を取りたくないから |
D.叱ることは禁じられているから |
73.
筆者によると、先輩が下の世代に教えてやらない原因はどれか。A.教えるものはないから | B.愛がないから |
C.部下に優しいから | D.辞められると損だから |
74.
文中に「弟子をあまりにも厳しく叱る」とあるが、それはなぜか。A.叱ったら、うまくやってくれるから |
B.弟子を叱るのが当たり前だから |
C.叱るのを我慢できなければ、職人になれないから |
D.弟子の一生が自分にかかっていると思うから |
75.
文中に「就職は結婚と似たものだ」とあるが、似たところはどれか。A.その人の人生に責任を取ること | B.叱られる覚悟がいること |
C.魂を次世代に伝えること | D.人のために役立つこと |