今年の年賀状に偶然、ウオーキングについて言ったものが2通あった。「昨年ウオーキングに挫折してしまった」というものと、「今年は早朝ウオーキングに励みたい」と決意を語ったものだ。
もちろんこの「ウオーキングはただ散歩ではなく、健康のための運動だ。しかし、続けるのはそれほど簡単ではない。もともと人類が歩行するのは、そこに移動という目的があったからだ。移動が目的であり、歩行は手段にすぎなかったとも言える。だからこそ車や通信システムなどの道具が生み出されたのだ。それでは体が弱るので、今になって人はしかたなくウオーキングするのである。①ここのところが、辛い!
だって人類文明は、怠惰な暮らしを追求することで発達してきたのだから。何事も楽して達成できるように道具を生み出し、技術を発展させてきた末に、今この現代社会が存在する。しかしとうとう、どう工夫してもいかなくなったのだなあ、人間の体のほうがね。
ウオーキングのような単調な運動は、どんな激しいスポーツよりも、②競けることがむずかしい行為だ。勝ち負けや記録といった競争原理は働かないし、他人の賞贊を得られるわけでもない。健康やシェイブアップ(塑形)のためと信じて、黙々と行うしかない。第一、文明を発達させてきた原理にも逆行する③反文明的行為でもある。
それを貫徹できるのは結局、強い自己愛なのだろう。自己愛もまた文明を発達させる大切な原動力だった、と思う。そう考えれば、毎日欠かさずウオーキングする人々は④やっぱり偉い、と私は応援をしたくなってしまうのです。1.①ここのところとはどんなところか。
A.移動の手段として歩行を使いたくないから文明を発達させるのに、結局、歩行をしなければならないというところ。 |
B.歩行はもともと移動という目的を達成するための手段であったのに、今では歩行自体が目的になっているというところ。 |
C.健康のために歩行以外の移動手段を生み出したのに、そのせいでかえって身体が弱ってしまったというところ。 |
D.人類は長い間怠惰な暮らしを続けてきたのに、現代になってからわざわざ運動しなければならないというところ。 |
A.文明に反する行為だから。 | B.歩行は手段にすぎないから。 |
C.人間は怠惰なものだから。 | D.動機を高める要因が少ないから。 |
A.ウオーキングは自然との調和を求める行為だから。 |
B.人類文明の発展は怠惰な暮らしを追求することにある。 |
C.ウオーキングには高度な技術が必要だから。 |
D.文明社会では運動は必要ないとされているから。 |
A.文明に反する怠惰な習慣を克服しただけでなく、自己愛の原理で文明を発達させるために力を尽くしているから。 |
B.技術を発展させるだけでなく、強い自己愛で自分を高めるという二つの原理で文明を発展させる力になっているから。 |
C.反文明的なことを続けるのは自己愛からだが、結局、自己愛もまた文明を発達させる別の原動力になっているから。 |
D.強い自己愛を捨てて難しいことを続けているだけでなく、文明を発達させる大切な原動力になっているから。 |
A.批判 | B.無関心 | C.辛い | D.応援したいという気持ち |
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【推荐1】日本語には、中国語から入ってきた語が多くあります。それらは漢語と呼ばれ、日本語の語彙の中で重要な位置を占めています。その反対に中国語に入った日本語もあります。特に19世紀末から20世紀はじめにかけて、中国語に入っていた翻訳語「社会」や「哲学」などです。これらは、西洋の学問を移入するために、明治期に日本で作られた翻訳語です。
明治期に作られた翻訳語がどのようにして中国語に入っていったのか、その経緯を見ていきましょう。中国は1896年から留学生を日本に派遣するようになりました。この留学生たちは、西洋の学問に関する事物を日本語から中国語に翻訳して本国へ送りました。この時、新しい翻訳語を作らずに日本の翻訳語をそのまま使うこともありました。こうして中国語は明治期の日本で作られた翻訳語を受容する(接纳)ことになったのです。中国語が日本の翻訳語をそのまま受容できたのは、日本で西洋の事物を翻訳するときに漢語を使ったからです。明治期の学者たちにとって 、中国の古典を学ぶことは大切な教養でした。( ア)、中国の古典にある漢語を翻訳語として借りたり、また新たに漢語を作ったりしたのです。
今後は、日本語と外国語との関係を、「語彙の交流」という視点からみていくことも必要でしょう。
1.中国語に入っていた日本語は次のどれか。A.荷物 | B.唯心 | C.葉書 | D.風呂 |
A.しかし | B.あるいは | C.そのため |
D.ところで |
A.西洋学問における日本語の翻訳は適切だか ら |
B.日本の学者にとって、中国の古典を学ぶことは大切だから |
C.日本の学者たち西洋の事物を翻訳するときに、漢語を使ったから |
D.西洋の学問を日本語で勉強するほうが簡単だから |
A.日本語から中国語に入った語「社会」や「哲学」だけです |
B.大正時期から作られた翻訳語が中国語に入っていった |
C.日本からの留学生たちは日本で新しく作られた漢語を中国へ送った |
D.中国の古典は、日本の学者が西洋の事物を翻訳するときに、大きな影響を与えた |
A.中国語に入った西洋語 |
B.日本語と外国語との関係 |
C.日本語と中国語との語彙の交流 |
D.日本語の漢語 |
【推荐2】日本ではよく、「若者はもっと個性を発揮すべきだ」とか、「個性を磨くべきだ」などと言われます。けれど私は、そういう言葉にはあまり意味がないと思っています。
また、日本では「個性」という言葉が主に人の外観に関して使われることにも、私は違和感を持っています。たとえば、「個性的なファッション、個性的なヘアスタイル」は「人がアッと驚くような奇抜なスタイル」であることが多いでしょう。
(中略)
このように考えると、「個性=人より目立つこと」と、多くの人が錯覚しているのではないかと思います。
でも、根本的なことを言ってしまえば、この世に生まれた人間は一人残らず全員、それぞれの個性を持っています。だから、誰かに「磨きなさい」と命令されて、義務のように磨く必要などないのです。
あなたが生まれ持った個性は、明らかにあなただけのものです。世界中に、あなたと同じ個性を持つ人など誰一人としていないのですから、「他の人はどうかな?」とキョロキョロすることは不必要だし、他人の真似をする必要もありません。真似しようとしても(ア)のが、個性というものなのです。
あなた自身が「楽しい、面白い、不思議だ、ワクワクする、ドキドキする」と感じ、心から求めているものを優先すれば、それでいいのです。「磨く」とか「発揮する」などと意識しなくても、自分が本当に好きなもの、興味があることに気持ちが向かっていけば、自分の世界がどんどん広がっていく。それが本当の意味で「個性を磨く」ということです。
1.文中に「そういう言葉にはあまり意味がない」とあるが、それはなぜか。A.「個性」という言葉が主に人の外観に関して使われるから |
B.人間はそれぞれの個性を持っていて、義務のように磨く必要がないから |
C.人より目立てば良いから |
D.自分の世界がどんどん広がっていくから |
A.本来の意味とは違う使い方がされている。 |
B.意味がないと思っている人が多い。 |
C.主に若者に対して使われている。 |
D.人によって使い方がさまざまだ。 |
A.真似しようとしない |
B.真似できるようになる |
C.真似できればよい |
D.真似できない |
A.他人には理解できないものである。 |
B.人より目立つことで発揮できるものである。 |
C.人間なら誰でも持っているものである。 |
D.ファッションを通して主張できるものである。 |
A.自分の心に従って、関心があることを追い求めること |
B.自分が好きかどうかより、個性的に見られるかどうかを優先すること |
C.周囲の意見を参考に、無理なく自分の世界を広げること |
D.どんな物事にも、楽しさや面白さを見つける努力をすること |
本来、時間に対する日本人の感覚は、きわめて神経質だと言われます。交通機関のダイヤの正確さなどにもそれがよく現れています。
ところが、その反面、日本語の中にはきわめて曖昧に時間を伝えることばが数多くあります。「しばらくお待ちください」「のちほどお電話さしあげます」「まもなく着くと思います」「少々時間をください」などの言い方は日常的よく使われています。
応対の中で「のちほどこちらからお電話さしあげます」と言った数人の人に、「『のちほど』というのは何分ぐらいの時に使いますか?」と訊ねたことがあります。驚いたことに答えは千差万別です。2、3分、10分か15分、30分ぐらい、1時間、2、3時間、その日のうち、最大1週間以内と答えた人もいます。そして、「のちほど」と言われた相手の客も「のちほどって何分後ですか」と聞き返す人は皆無に近いのです。「ではよろしくお願いします」で終わってしまいます。客の方が「のちほど」を何分ぐらいと理解したかです。言った方にそれだけ幅があるのですから……。
「のちほど電話すると言ったから、出かけないで待ってるのにかかってこないじゃないか」と苦情になったこともあります。
きちんと時間のメドを言う人も、もちろんいます。時間のメドが立たない時に、「のちほど」というあいまいで便利なことばを使うのでしょう。しかし、メドが立たない場合でも、「担当がただ今席を外しておりますので、何分後というはっきりしたお約束が出来かねます。申し訳ございません」と、はっきり言えない理由をことばで伝えてください。
また、メドが立つ場合でも、10分後と思ったら「20分後ぐらいまでにはお返事出来ると思います」。30分後と思ったら「1時間以内には……」というように、多め多めの時間を伝えてください。人間の心理として、「30分後」と言われても20分後ぐらいから待ち始めます。25分も経つとイライラが始まります。30分後に正確に返事が出来たとしても、あまり満足感はないのです。それが、「1時間以内には」と伝えておけば30分後に返事がくれば「早く調べてくれたな」と思って満足してくれるものです。
(岡部達昭『心くばりの話しことば』日本放送出版協会による)
1.( ① )には入る数字はどれですか。A.3 |
B.6 |
C.8 |
D.9 |
A.待たせた相手が大事なお客さまであることを知らされていない時 |
B.相手が実際よりも長く待っていると感じていることがわからない時 |
C.相手が電話をかけてきたのだから少しぐらい待たせても問題ないと思った時 |
D.どんなに待たせても「お待たせいたしました」と言えばいいと思っている時 |
A.どのくらい待つのか確かめてから電話を切る。 |
B.一度電話を切って、しばらくしてからかけ直す。 |
C.電話を切って、相手からかかってくる電話を待つ。 |
D.「このまま待ちます」と言って、電話を切らずに待つ。 |
A.普通1時間以内 |
B.平均すると1日 |
C.ほとんどの場合1週間 |
D.2、3分から最大1週間まで |
A.あいまいなことばを使わないで、相手に何分待てるか聞いたほうがいい。 |
B.あいまいなことばを使わないで、正確な時間が言えない理由を伝えるといい。 |
C.あいまいで便利なことばを使えば、相手にはっきり時間を伝えなくてもいい。 |
D.あいまいなことばは便利なので使ってもいいが、その前に相手に謝ったほうがいい。 |