1 . 物を贈るという行為は世界中の文化や社会に共通するものだし、物を包んで贈るということも珍しくはないだろう。山口さんは折形を通して「包む」ということにも関心を深めており、包むことの意味を考えている。
「例えば、旅館に泊まってとても気持ちのいい接待を受けたとする。それで、世話をしてくれた旅館の仲居さんにありがとうという気持ちを伝えたい。そんな時、お金をそのまま渡すと労働の対価のような気がしてしまう。(ア)、お金を紙に包んで渡すことで、もてなし(接待)に対する感謝の気持ちを伝えることができる気がする。包むという行為にはそんな力があると思う。」そして、その気持ちを伝える方法の一つが折形だと言う。
相手のことを考えながら、気持ちを込めて自分の手で丁寧に折っていく。そして、贈り物を受け取る側は包みを解きながら、同時に贈ってくれた人の気持ちも読み解いていく。今では折形の作法を知っている日本人は多くないが、包むという行為を大切にする文化は消えていないと言う。
「日本人って、贈り物をもらった時、包装を破ったりせずに丁寧に解くでしょう。貼ってあるテープ(胶带)とかも、紙が破れないようにゆっくり、ゆっくりと。あれはね、包むことを大事にしているからだと思う。」
山口さんはこの折形という慎ましやかで(恭谨)、相手への配慮(关怀)に重き(重视)を置く「包む」文化を日本だけではなく、広く世界にも伝えたいと考えている。
おりかたち 注:折形一馈赠他人礼物时外包的和纸的折法,是日本特有的赠答礼法。
1.
文中の(ア)に入れるのに最も適当なものはどれか。2.
仲居さんに感謝の気持ちを伝えたい時、山口さんはどうしたらいいと言っているか。A.ごちそうしたほうがいい。 |
B.お金をそのまま手渡したほうがいい。 |
C.お金を紙に包んで渡したほうがいい。 |
D.改めてありがとうと言ったほうがいい。 |
3.
この文章の「包む」行為の説明として、合っているものはどれか。A.贈り物を包んだら破れにくくなる。 |
B.包む行為は世界中で流行っている。 |
C.包む作法を知っている日本人が多い。 |
D.包むことで感謝の気持ちを伝えることができる。 |
4.
文中に「紙が破れないようにゆっくり、ゆっくりと」とあるが、なぜか。A.紙を大事にしているから |
B.ゆっくり解くと丁寧になるから |
C.早く解く方法が分からないから |
D.包むことを大事にしているから |
5.
この文章で筆者の最も言いたいことはどれか。A.折形は気持ちを伝える方法の一つである。 |
B.日本の折形という「包む」文化を大切にしたい。 |
C.物を包むのは紙の無駄だから、やめたほうがいい。 |
D.折形の作法を知っている日本人はもういないから、残念である。 |