10 . 日本語では、「ことにする」と「ことになる」は見た目が似ているが、伝わる意味は違っている。「ことにする」を使うと、話し手の意志で決めたということが伝わる。「ことになる」を使うと、話し手の意志に関係なく、自然にそういう結果になったということが伝わる。
例えば、自分の転勤について、「大阪に赴任することになりました」と言えば、会社の決定あるいは上司の命令で赴任するということを伝える。この場面では、話し手の意志とは関係なく、そういう結果になったという意味が強くなる。一方、「大阪に赴任することにしました」と言うと、自分で決めたということを伝える。
では、「彼女と結婚することになりました」という言葉も、話し手の意志ではなく、本当は結婚したくない、周りの人に強制されたから結婚するという意味なのだろうか。実はこの場面では、本当は話し手の意志で決めたことでも、婉曲的に表現するために「ことになる」が使われているのだ。日本人は自分の意志で決めておきながら、「結婚することになりました」と言うのである。
( ア )、「ことにする」と「ことになる」は文字で見るとたった一文字の小さな違いだが、どのような言い方をするかによって、コミュニケーションの上では大きな違いになるのである。
1.
文中に「話し手の意志で決めた」とあるが、その意味はどれか。A.話し手が自然にそうしている |
B.話し手がそうしたいと思ってやっている |
C.話し手はやりたくないのにやっている |
D.話し手の意志が強いということ |
2.
文中の「大阪に赴任することになりました」の意味に合わないのはどれか。A.私は上司に命令されたから大阪に転勤することになった |
B.会社の決定によって、私は大阪に行くことになった |
C.仕事でミスしてしまったので、大阪に飛ばされた |
D.大阪の仕事に興味を持っているので、大阪に赴任することにした |
3.
文中の「この場面」の指すものはどれか。A.「大阪に赴任することになりました」を言う場面 |
B.「大阪に赴任することにしました」を言う場面 |
C.「彼女と結婚することになりました」を言う場面 |
D.「彼女と結婚することにしました」を言う場面 |
4.
文中の( ア )に入れるのに最もふさわしいのはどれか。5.
文章によると、次の中で正しいのはどれか。A.「ことにする」と「ことになる」は文字で見ると違うが、実の意味はまったく同じだ |
B.「ことにする」と「ことになる」はどちらも単に決まりを教える言い方である |
C.「ことにする」は自分の意志を強く伝えるもので、強制された意味がない |
D.「ことにする」より「ことになる」のほうが話し手の意志が伝わる |