1 . 「えっ!」。古本屋の前で、思わず声をあげた。貼り紙に「来月閉店します」とある。職場から、商店街を歩いて5分。自分の部屋のような店だったのに……
初めてこの店を知ったのは、大学卒業後、就職なども決まらなかった24歳のころ。外出に引け目(自卑)を感じ、友人からの電話にも出られない。苦しかった。母に偶然教えてもらって初めて入ったその店は、見たことのない専門書を安い値段で売っていた。文化や哲学に関する本を読みあさった(广泛阅读)。前の所有者が引いた線や書き込みを見るのも好きだった。
一歩ずつ立ち直った。29歳の時、視覚障害者の歩行訓練士になろうと学び直した。実習で読書好きの人の担当になり、頑張っていたが、心身ともに疲れ、2年目でやめた。
数ヶ月間、起き上がれなかった。母が散歩に連れ出していたのをきっかけに、再び古本屋に通い出した。自分の部屋のようで落ち着いた。顔は覚えられていたが、店員は「はい、いらっしゃーい」と言うだけで、ちょうどよい距離感がありがたかった。
再び立ち直ってきた31歳の時、土産物屋で働くことになった。立ち仕事は辛かったが、古本屋に寄って帰るのが支えになった。
最終日。店内の客から、次々とねぎらい(慰劳)の言葉を掛けられていた店員に、お礼のお菓子をあげて帰ろうとした時、「体だけは気をつけて。またどこかでお会いできたら」と言われた。泣きそうになった。
古本屋と出会って24年になる。この出会いがなければ、自分は潰れていた(垮掉)と思った。本に救われたと思っていたけど、売ってくれる店があってこそだった。古本は自分の先生、古本屋は自分の学校でした。
1.文中の「自分の部屋のような店だったのに」と思った時の気持ちはどれか。A.くるしい | B.たのしい | C.さびしい | D.うらやましい |
A.古本屋へ行けなくなったから |
B.友人の電話に出られないから |
C.がんばりすぎて心身とも疲れたから |
D.就職の失敗などで精神的に苦痛であるから |
A.だんだん元気になった。 | B.本を読めるようになった。 |
C.目が見えるようになった。 | D.少しずつ歩けるようになった。 |
A.古本屋が家の近くにあること |
B.店員があれこれとうるさく言わないこと |
C.店員がいつも丁寧に挨拶してくれること |
D.店員が私の顔をちゃんと覚えてくれたこと |
A.本と私の人生 | B.古本に救われた店 |
C.古本屋の親切な店員さん | D.生き直す力をくれた古本屋 |
2 . みなさんの 1 (周)りに「物知り」(博学多识)な人はいませんか。さまざまなことを知っている人たちに共通するのは、自分から興味を持って、 2 (楽しむ)ながら知識を吸収していること。「いろんなことに興味を持てて、すごいなあ」 3 他人事のように思う人もいるかもしれませんが、コツさえ 4 (つかむ)ば、だれでも興味を持てるのです。
そのコツは「自分で選ぶ」こと。ある大学の研究で、宝くじ(彩票)を自分で引いたグループと他人に引いてもらったグループ 5 分け、結果への興味の 6 (持つ)方に違いがあるか 7 (しら)べました。すると、自分で引いたグループの方が、もっと結果 8 気にしていたそうです。つまり「自分で選ぶ」ことで興味が 9 (強い)なるのです。
読む本や出かける場所、着る服……、人生は選択の連続です。人任せ(托付他人)に 10 (する)ず、「自分で選ぶ」ことで、自分の興味を広げていきましょう。
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3 . アメリカ人はそもそも(说起来,原本)多民族国家だから、相手に「分からせよう」とする気持ちが強い。相手に分かってもらわなければ、自分の権利も危ういのだから。
日本人は、分からせようとする気持ちが少ない。テレビの討論番組を見ていても、相手を説得(说服)する気があるようには思えない。大声で独白しているだけである。何しろ、数時間を費やして、口角泡を飛ばしても、自分の考えを変えた人は一人もいないのだ。誰も説得していないし、誰からも説得されていない。討論者の数があるだけで、視聴者は「バカの壁」を鑑賞することになる。
なぜ、それでもよいのか。それは、日本にそもそも「分からせなくてもよいのだ」という伝統があるからだ。(ア)、西田幾多郎や小林秀雄などの文章を思い出してみればよい。日本の代表的知識人に、分かりやすい文章を目指していない人がどれほど多いだろうか。
政治家の答弁も、不祥事(丑闻)を起こした会社の責任者も、人に分からせる気で言葉が発せられることはない。「頼む。察してくれ」という気持ちなのである。
「胸襟を開いて」あるいは「腹を割って」話し合うことが、問題解決の近道だといわれる局面がある。だが、利害が対立している二人が、腹を割って話し合えば、理論上はこじれる(复杂)に決まっているのである。
相手に「分からせて、相手を動かす」ことは日本では(イ)。日本には「腹芸」という言葉もあるくらいである。積極的に動いて相手に多くの情報を伝えようとする意思はそもそも持っていないのだ。
1.文中に「『バカの壁』を鑑賞することになる」とあるか、なぜそうなるか。A.討論になっていないから |
B.討論者の人数が多すぎるから |
C.発言者は口角泡を飛ばしているから |
D.相手を無理に説得しようとしているから |
A.しかし | B.例えば | C.ところが | D.それとも |
A.決心して | B.心を開いて | C.大笑いして | D.相手の気持ちを推測して |
A.多い | B.簡単だ | C.困難だ | D.当たり前だ |
A.相手を説得しなければならない。 |
B.政治家の気持ちを察したほうがいい。 |
C.アメリカの分からせる文化を学ぶべきだ。 |
D.日本人はあまり人に分からせる意思を持っていない。 |
4 . コミュニケーションの一番の基礎は聞くことです。会話の中で面白いことを言おうとか、笑いを取ろうとか、ユーモア(幽默)を見せようとする必要はありません。ただ相手の話を肯定的な態度で(ア)のです。
傾聴という活動があるのを知っていますか。それはただ聞き流す(一听了之)、尋ねるのではなく、相手の話すことに耳も心も傾けて聞く、話し手を中心に置く聞き方です。批判したり、評価するのではなく、相手の主張を真剣に聞く。これは心理カウンセラー(心理咨询)の重要な手法ですが、傾聴によって、問題を抱えている話し手が、聞き手に認められていると感じ、悩みを吐き出し、新しい気づきが生まれると言われます。日常生活でも傾聴することによって相手に安心感、信頼感が生まれ、よい人間関係ができます。
とはいっても本格的に(心无旁鹫地)傾聴するのはなかなか難しいことです。専門家ではないのですから、百パーセント完全にできないにしても、話すより聞くことを心にとめて努力するだけで、人間関係はずっとよくなるはずです。
更に重要なのは相手のアドバイスを聞くことです。傾聴する時と同じく、心を込めて相手の言っていることに耳を傾けましょう。アドバイスしてもらいながら「そんなこと私には無理だわ」「この人は本当の事情を知らないで自分の信念から言っているだけだわ」と思ってしまうことが多いですが、そんな態度は相手に伝わります。せっかくのアドバイスは直接役に立たなくてもヒント(提示)になることは必ずあります。
1.文中の(ア)に入れるのに最も適当なものはどれか。A.聞く | B.笑う | C.変える | D.考える |
A.相手の話をただ聞き流す。 | B.心を込めて相手の話を聞く。 |
C.評価しながら相手の話を聞く。 | D.批判しながら相手の話を聞く。 |
A.話すことが上手になる。 | B.他人を批判しなくなる。 |
C.人を評価するようになる。 | D.新しい気づきが生まれる。 |
A.相手のアドバイスを受け入れる態度 |
B.相手のアドバイスを受け入れない態度 |
C.相手のアドバイスに心から感謝する態度 |
D.自分の意志を強く主張しようとする態度 |
A.傾聴はカウンセラーの唯一の手法だ。 |
B.相手の苦悩は傾聴で完全に解決できる。 |
C.傾聴では話し手を中心に置いて聞くことが重要だ。 |
D.相手にアドバイスをすることが傾聴の最終目的だ。 |
5 . これはビジネス文書に限ったことではないのだが、何であれ文書を書いていると、少しばかり緊張感を覚えるものだ。書きながら、頭の中でこんなことを考えている。
この書き方でいいのかな。
これ、ひどく下手な書き方じゃないだろうか。
これでわかるかな。
そういう気が何度もして、ちょっとしたプレッシャ一(压力)になっている。だからこそ、文章を書くのは苦手だ、と思っている人もいるのじゃないだるうか。
しかし、その逆もまた真である。文章を書く面白さとは、そういうプレッシャーを感じながら、なんとか諸問題をクリアして、一応のものを書き上げることにあるのだ。
テレビゲームが楽しいのと同じ考え方である。あれは、攻略するのが簡単ではない様々な障害を避けながら、次々に問題を解決していって、なんとかクリアしていくところが面白いのである。むずかしいからこそ、うまくやったときに楽しいのだ。
文章を書くのも、そういうことである。これでいいのかな、とほんの少しの不安を抱えながら、なんとか書いていくってことを楽しまなければならない。
別の言い方にすると、文章というものは、書く人に対して、うまく書いてくれ、と要求してくるのである。( ア )、文章とは人と人とのコミュニケーションの道具だからだ。この例外は、自分だけにわかればいいメモと、絶対に他人に見せない日記だけである。
それ以外の文章は必ず、書く人間のほかに、読む人間がいて完成されるのだ。そして、書いた人の伝えたかったことが、読んだ人にちゃんとわかってこそ、文章は役を果たしたことになる。
1.筆者は、文章を書くときに何がプレッシャーになっていると述べているか。A.このまま最後まで書き上げられるか不安だという気持ち |
B.読む人が期待する書き方をしているかという気持ち |
C.自分は字を書くのが下手だから嫌だという気持ち |
D.書きたいことがうまく書けているかという気持ち |
A.様々な障害をクリアしていくことがむずかしい |
B.プレッシャーを忘れ、いろいろ考えるのが楽しい |
C.苦労して問題を片付け、課題を完成させるのが楽しい |
D.不安を抱えたままでは問題を解決するのがむずかしい |
A.なぜなら | B.それなら | C.それで | D.しかし |
A.文章の価値を決めるのは読み手の存在だ |
B.文章が成立するには読み手の存在が必要だ |
C.文章は人に読まれることでよりよいものになる |
D.文章は読み手の要求にこたえることでできあがる |
A.苦手ですから、書かないほうがいい |
B.難しいし、つまらない |
C.苦手ですが、頑張って書いたらできる |
D.難しいからこそ、おもしろい |
6 . 皆さんは寄付をしたことがあるだろうか。食べる物が不足して困っている人や、災害で家を失った人のために少しでも寄付した経験がある人はいるだろう。その寄付に対する考え方に、今、新しい働きが起こっている。
ある会社では、社員食堂で低カロリーの定食を食べると代金の一部が寄付金となり途上国(发展中国家)の子供たちの食生活を支援するというシステムを取り入れている。社員としては( ア )につながるだけでなく、人を助けることができ、会社としては社員の健康を支えながら社会貢献ができるので、双方にとって一石二鳥というわけだ。
また、「寄付つき」の商品を販売する企業も増えている。特定の商品を買うと売り上げの一部が寄付されるというもので、商品を買えば、同時に寄付できるという手軽さが消費者に歓迎され、売り上げを伸ばしているという。
これまでの寄付はわざわざ募金の場所へ足を運んだり、銀行からお金を振り込んだりしなければならないものが多く、社会貢献に関心はあっても寄付をするのは面倒だと考える人も少なくなかった。しかし、新しい寄付の形により、これまでと比べて手軽に寄付できるようになり、社会貢献がしやすくなった。( イ )、企業にとっても自社のイメージ向上や売り上げの増加などメリットの多い取り組みとなっている。
このように寄付は慈善のためというばかりでなく、寄付をする側にもプラスになる活動として注目されている。
1.社員食堂で低カロリーの定食を食べることがどんな良い結果につながるのか。A.社員の健康が守られ、社会の役に立つことにもなる。 |
B.社員に定食代の一部が返金され、給料も上がる。 |
C.会社で寄付が日常のことになり、食生活に対する意識も高まる。 |
D.会社は社会の役に立つことができ、食堂の経費の節約にもなる。 |
A.環境保護 | B.体調管理 | C.時間管理 | D.経済成長 |
A.寄付をする方法があまり知られていない。 |
B.寄付をすることが社会的に評価されにくい。 |
C.寄付をするのに面倒なシステムである。 |
D.寄付をするためには経済的に余裕がなければならない。 |
A.さらに | B.なぜなら | C.それとも | D.または |
A.企業が社員や消費者の意思にかかわりなく積極的に行うもの |
B.企業が慈善事業のためではなく利益を上げるために行うもの |
C.社員や消費者が手軽に寄付ができて企業側にも利点があるもの |
D.社員や消費者が気がつかないうちに社会貢献に参加できるもの |
7 . わたしたちの身の回りにある空気は透明なのに、空を見る51. 青く見えます。また、夜が52. (明ける)ばかりの東の空や、日が暮れるころの西の空は赤く見えます。このように、空が青く見えたり、朝や53. (ゆうがた)に赤く見えたりするのは、なぜでしょうか。それは、太陽光が54. (さまざま)色の光が集まってできていて、それぞれの色によって散らばりが違うためです。それがよく分かるのが、虹だ。虹は、太陽光が空気中の水によって分けられて、赤/橙/黄/55. (緑)/青/藍/紫の7色に見えているのです。
もっと56. (詳しい)調べると、光は、周りへ57. (伝わる)ていく波の一種だということが分かります。光の色は、この波の山から山までの長さ(波長)によって決まります。赤色の光は波長が長く、青色の光58. 短いです。
波長が短い光は、空気中の酸素などの分子によって59. (散らばる)(四散开来)やすく、あちこちへ広がります。この現象を「散乱」60. 呼び、波長の短い光ほどよく散乱します。つまり、波長の短い青色の光は、波長の長い赤色の光に比べて散乱しやすいため、空は青く見えるのです。
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8 . おむすび(东日本的饭团)とおにぎり(西日本的饭団)が旅の途中で会った。
二人はあんまり似ているので1( )。
「どこから来たか?」
「わたしは東の方から来たが、お前さんは?」
「わたしは西の方から。」
「2( )親戚じゃないか?似ているよ。」
「そう3( )。どうじゃ、今日はここで宿をとってゆっくり話でもらおうか?」
「うんうん。急ぐ旅でもないし。そうしよう。」
二人は宿でご馳走を食べ、お酒も飲んでいい気分になった。
お酒が入ると遠慮もなくなって、名前4( )になった。
「わたしの名はむすびの神様5( )いただいた高貴な名だ。」
「それがどうした。わたしの名はお袋さん(母亲)があたたかい手で握ってくれたところからついた。お袋の味のありがたい名だ。」
「そうなんだね。わたしは貴族の妻に愛されている。」
「何を言うか。お袋様6( )ありがたい7( )はない。わたしは全人類に愛されている。」8( )激しくなって、とうとう喧嘩になった。
「まあまあ。お二人とも、やめなさい。」
割って入ったのは漬物(咸菜)だ。
「聞いてください。私は漬物です。しかし、東に行くと漬物、西では香の物と9( )。根は一つ。お二人とも同じじゃないですか?」
「そうだか?」
「10( )ところで喧嘩してもしようがありません。お風呂にでも入って仲直りしましょう。」というわけで、三人でお湯に入ると崩れて混じっておいしいお湯漬けになりました。
1.( )A.楽しんだ | B.驚いた | C.悲しんだ | D.喜んだ |
A.もしかしたら | B.だたし | C.しかし | D.ところで |
A.べきではない | B.とは言えない | C.ということだ | D.かもしれない |
A.自身 | B.自慢 | C.自信 | D.自由 |
A.から | B.まで | C.で | D.が |
A.ように | B.くらい | C.ほど | D.そうに |
A.もの | B.こと | C.わけ | D.の |
A.なかなか | B.だんだん | C.まだまだ | D.ときどき |
A.言っています | B.言いません | C.言われます | D.言わせます |
A.どんな | B.あんな | C.そんな | D.こんな |
1.地下鉄が遅れた理由は何ですか。
A.大雪 | B.大雨 | C.強い風 |
A.14時10分 | B.14時17分 | C.14時27分 |
A.駅員 | B.店員 | C.社員 |