1 . 囲碁は中国に始まり、古代には「弈」と呼ばれ、4000年の歴史があります。占星術や算術の手段であったという説がありますが、後に遊びや知恵比べの道具へと変わっていきました。中日の文化交流の発展に伴い、遣唐使が囲碁を日本に持ち帰りました。
囲碁は、二人が順番に碁盤の上に黒い石、白い石を置いて、「地」が多いほうが勝つゲームです。もし、相手の石に囲まれたら、自分の石は取られてしまいます。
将棋も人気があるゲームです。その起源は、インドと言われています。時代を経てそれぞれの国の文化の特徴があらわれて、さまざまな色や形の違う西洋のチェスや中国の象棋や日本の将棋へと変化していきました。将棋で使う駒には、漢字が書かれています。
駒によって進め方や強さが違い、先に相手の「王将」を取ったほうが勝ちです。面白いことに、日本の将棋には独特なルールがあります。それは、取った駒を自分の駒として再使用できること(持駒)です。
囲碁も将棋も、プロ棋土は対局中、相手に話しかけないのがマナーです。直接言葉を交わすことはしません。石や駒の置き方で( ① )。競技の終了は、「負けました」という敗者の宣言によってなされます。その後に②勝者は「ありがとうございました」と言って、勝ち負けが確定します。知力を磨くのに協力してくれた相手に感謝の思いをこめて挨拶して対局を終えるのです。
つまり、対局は勝負を決める単なる娯楽のゲームではないということです。お茶に茶道、お花に華道があるように、将棋にも棋道と呼ばれるものがあります。囲碁や将棋は、強さだけでなく、競技としての美しさや品格を追求し、人間としての精神を成長させようとする競技なのです。
1.
囲碁について、文章の内容に合っていないのはどれか。A.囲碁を日本に伝えたのは遣唐使である。 |
B.囲碁の起源は中国にあり、後に日本へ伝わった。 |
C.囲碁はもともと占星術や算術の手段だったと考えられている。 |
D.囲碁が日本で遊びや知恵比べの道具になったのは現代になってからだ。 |
2.
日本の将棋が独特で興味深いと思われるのはどうしてか。A.将棋は、中国ではなくインドが発祥の地だと考えられているから |
B.将棋は囲碁と同じく、対局中、相手とおしゃべりをしながらするから |
C.将棋は囲碁と違って、相手から取った駒を自分の駒として再び使えるから |
D.将棋の駒には、日本人には読めない中国から伝わった漢字が書かれているから |
3.
文中の( ① )に入る最も適当な言葉はどれか。A.自分の実力をはっきりと示すのです |
B.言葉のない会話をするのです |
C.マナーの良さを表現するのです |
D.むだな時間を費やすのです |
4.
文中に②「勝者は『ありがとうございました』と言って」とあるが、その挨拶にはどんな意味があるか。A.知力を磨く競技の対戦相手になってくれた人に感謝の気持ちを伝える |
B.勝利の喜びを与えてくれた競技相手にお礼の言葉を言う |
C.対局が自分の勝利で終わったことが喜ばしいという思いを相手に告げる |
D.お互いに苦労した対局において特にがんばった相手をほめる |
5.
棋道とは何か。この文章で述べられている内容に最も近いものは次のうちどれか。A.対局中は相手に話しかけないというマナーを追求するという「道」 |
B.棋士は競技の進め方のルールを守り、勝負に勝つ実力を養うことを目指す「道」 |
C.囲碁でも将棋でも、相手に勝つことが特に求められるという「道」 |
D.対局を通して精神を修養して高めることをねらいとする「道」 |