1 . 午前、知人と喫茶店で話していた時、面白い話を聞いた。知人は大学時代に留学の機会を得て、アメリカに留学した 1 が、帰国する時、心に残る思い出ができた。
アメリカに 2 時は飛行機だったが、帰りは船に乗って 3 、貨客船で帰ることにした。基本的に貨物であるが、乗客も11人まで乗せる貨客船に乗ってアメリカの西海岸の港 4 出て横浜に向かった。
飛行機で外国 5 到着した時に時計を調節するのが普通であるが、船旅では横浜に着くまで、毎日寝る前に1時間時計を遅らせるように船員に 6 。つまり(换言之)、1日25時間になった。 7 、日付(日期)変更線を越える時に日付を1日先に進めることになって、1日失われたのである。
その船には息子さんと一緒に日本へ旅行に行く朴さんという女性が乗っていた。そして、朴さんの誕生日が日付変更線を越える時に失われた1日だったのである。これを知った船長が、朴さんの 8 にパーティーを開く 9 、みんなで朴さんを励まして、パーティーを楽しむことができて、なかなか経験できない船旅となった。
私はこの知人の話を聞いて、 10 船旅も悪くないと思った。今は仕事で忙しく、時間の余裕がないが、私も船旅をしてみたくなった。
1.( )A.そうだ | B.ようだ | C.らしい | D.そうな |
A.行き | B.行く | C.行った | D.行って |
A.おきたく | B.いたく | C.みたく | D.ありたく |
A.を | B.で | C.に | D.が |
A.から | B.まで | C.で | D.に |
A.言われた | B.言わせた | C.言わされた | D.言った |
A.では | B.だから | C.それに | D.そこで |
A.ため | B.よう | C.せい | D.おかげ |
A.ことにして | B.ことになって | C.ようにしていて | D.ようになって |
A.このような | B.このように | C.このみたいな | D.このみたいに |
2 . 「我を忘れる」という表現がある。自分のことを忘れる、というのだから変な感じがするが、考えてみるとなかなかうまい表現だなと思う。映画などを見ていると、知らないあいだに主人公に同一化してしまって、主人公が苦境に立つと、こちらも胸が苦しくなったり、知らないあいだに手を握り締めていて、汗が出たりする。①それは別に映画の話であって、自分が椅子に座ってそれを見ているのだから、何のことはない、と言えばそれまでだが、そんな観客としての自分のことは忘れてしまっているのだ。
子供の劇場の仕事をしている人たちと雑談していると、面白いことを聞かせていただいた。最近の子供たちは、劇を見ていても、それに入り込まずに、いろいろなことを言って、やじ(起哄)で劇の流れを止めようとする。ピストル(手枪)を見ると、「あんなのおもちゃだ」と言う。人が死んでも、「死ぬ真似しているだけ」と叫ぶ。悲しい場面のときに、妙な冗談を言って笑わせる。要するに、「クライマックス(剧情高潮)に達していくのを、何とかして妨害しようとしている」としか思えない。こうなると劇をする人も非常に演じにくいのは当然である。
主催者の人たちがもっと驚き悲しくなるのは、そのような子供たちがやじで騒いで喜んでいた後で、その子の親たちが、「今日は子供たちがよくノルしていましたね」と喜んでいるのを知ったときであった。この親は「ノル」ということをどう考えているのだろう。子どもたちは騒いで楽しんでいるかのように見える。しかし、実のところは劇の展開に「ノル」のに必死で抵抗しているのだ。「我を忘れる」のが怖いのだ。
1.①それは何を指しているか。A.主人公が苦境に立っている状況。 | B.映画を見ている状況。 |
C.胸が苦しくなったり、汗が出たりすること。 | D.主人公に同一化すること。 |
A.満足している。 | B.驚きと悲しみ。 |
C.興奮している。 | D.完全に無関心。 |
A.最近の子供たちはすぐ「ノル」ので、劇をする人は演じやすい。親もそのことを喜んでいる。 |
B.最近の子供たちはやじで騒ぐので、劇をする人は演じにくくて困る。しかし、子どもが楽しんでいるのだから、親と同様に演じる側も喜ぶべきである。 |
C.最近の子どもたちは、映面や芝居の世界に入り込んで「我を忘れる」、ということが少ない。親もそのことに気づいている。 |
D.最近の子どもたちは、映面や芝居の世界に入り込んで「我を忘れる」、ということが少ない。 |
A.積極的に望んでいる。 | B.完全に受け入れている。 |
C.恐れている。 | D.全く気にしていない。 |
A.必要ないと思っている。 | B.文化の違いだと思っている。 |
C.良い体験だと肯定している。 | D.人との関わりがないと批判している。 |
3 . チーム全員で物事を成すというのは本当に面白いが、ときにはチームが一つにまとまらず、あるメンバーがチームの足並みを乱す要因になってしまうこともある。大変残念なことだが、もしそうなったら、リーダーはその現実から絶対に目を背けないことだ。
周りのメンバーから「NO」を言われた人については、その人がどうしても変われないなら、リーダーとしてのあなたがチームから外すことを決断する勇気もときに必要だ。
ただし勘違いしてはならない。外すという決断は、決して軽々しくしていいものではない。そもそも、周りと合わない人がチームにいるというのはよくあることだ。それはまだ、本人に「変わる」余地がいくらでもある状態であり、まずはあなたがその人を変えていけばいい。
たとえば私は、他のメンバーの反応がよくない人ほど、1対1で何度も話し合うようにしている。その席では「周りがこんな不満を感じている」ということを率直に伝え、こうして話し合っていることをメンバーにも分かってもらっている。そのうえで、数か月後に周囲との関係が改善されていなければ、本人に異動の意思を尋ねる。(ア)残念な結果になっても、周りのメンバーも納得できるし、誰でも受け入れやすくなると考えているのだ。つまり、チームからあるメンバ一を外すなら、外すという決断の「重み」を本人にも周囲にも感じてもらえるように、まずあなたが正面切ってその人に何度も働きかけることが先なのだ。
1.文中に「目を背けない」とあるが、それに一番意味が近いのはどれか。A.目線を離さない | B.目を盗まない | C.目が回らない | D.目にあわない |
A.リーダーが勘違いしたこと | B.周りと合わない人がいること |
C.決断を軽々しくすること | D.その人を変えること |
A.それでは | B.なぜなら | C.ところで | D.それならば |
A.他のメンバーに何度も話し合うようにする。 |
B.直接に本人に異動をさせるようにする。 |
C.本人にコミュニケーションを取って、改善してもらうようにする。 |
D.他のメンバーと話し合って、本人を外す決断するようにする。 |
A.リーダーとしての決断は軽々しくしてもいいことだ。 |
B.外すという決断は重いから、本人に何度も働きかけることが大切だ。 |
C.周りのメンバーが納得できるように、リーダーは他のメンバーに何度も話し合うことだ。 |
D.本人は周りとの関係が改善しても、リーダーは本人に異動をさせることだ。 |
4 . 合格発表を待つとき、人前でスピーチするとき、好きな人に告白するとき、人はさまざまな場面でド キドキ(心扑通扑通跳)しています。
このドキドキが起こるとき、私たちの体の中では、どんなことが起きているのでしょう。緊張・興奮したり、不安になったりすると、まず脳の奥深くにあって情動の表出や意欲・記憶などを司る「大脳辺縁系」(大脑边缘系统)というところが興奮します。次に、この興奮が交感神経・副交感神経機能及び内分泌機能を調節している「視床下部」(下丘脑)に影響を与え、全身の交感神経を優位にします。こうして心臓の交感神経が心臓の収縮を強くして、拍動(跳动)を速めることになります。呼吸もいつもより浅くなるそうです。
しかし、恋愛に関するドキドキは、単純に緊張・不安・興奮した時とは違うそうです。なんと人がときめきを感じた瞬間に、ドキドキ発生システムが活発化するという、不思議な特徴を持っています。しかも、その特徴は、誰かに恋をした時の本当のときめきにしか反応しないのだそうです。ある実験では、外見が魅力的な素敵な人に会っただけでは、何の反応もなかったのに、相手を異性として意識し始めた瞬間から、その人に会ったり、その人を想ったりするだけでも、ドキドキしてしまう、という結果が出たそうです。つまり恋愛のドキドキは、人が恋愛をするという自覚を持った時、初めて現象として出るようになるということです。
(ア)、シニアの方(老年人)がドキドキする場合は、注意が必要です。いろいろな病気の可能性が考えられます。動悸を引き起こす病気には、心臓病のほか、高血圧や貧血、感染症などが挙げられます。
1.「ドキドキが起こるとき」体の中で、どんなことが起きているのか。A.「視床下部」に影響を与える一拍動を速める一「大脳辺縁系」が興奮する |
B.「視床下部」に影響を与える一「大脳辺縁系」が興奮する一拍動を速める |
C.「大脳辺縁系」が興奮する一拍動を速める一「視床下部」に影響を与える |
D.「大脳辺縁系」が興奮する一「視床下部」に影響を与える一拍動を速める |
A.外見が魅力的な素敵な人に会ったとき、恋愛のドキドキが発生する。 |
B.人が恋愛をするという自覚を持った時、恋愛のドキドキが発生する。 |
C.恋愛のドキドキは緊張・不安・興奮した時と同じドキドキ発生システムだ。 |
D.誰かに恋をしたとき、ドキドキはしない。 |
A.一方 | B.しかし | C.それで | D.つまり |
A.病気の可能性があるから | B.年齢が高いから |
C.健康に悪いから | D.危険性が高いから |
A.シニアの方がドキドキする場合、医師に相談して、適切な治療を受けたほうがいい。 |
B.ドキドキが起こるとき、心臓の副交感神経が心臓の収縮を強くする。 |
C.相手を異性として意識し始めた瞬間から、その人に会ったりするだけでも、ドキドキしてしまう。 |
D.ドキドキが起こるとき、呼吸はいつもより浅くなるそうだ。 |
5 . 試験というもので、いったい何を調べようとしているのだろうか。たぶん、「学力」といったものだろう。しかし、その「学力」というのが、知識や技能かというと、少し違うような気がする。
おそらく、例えば数学なら数学の世界が、心の中にどれだけ豊かに広がっているか、それが「学力」というものなのだと思う。( ア )、その数学の風景の一部としては、知識や技能もあるかもしれない。しかし、それ以上に、知識を忘れてもなんとかなり、技能でつまずいても(即使失败、受挫)回復できるほうが、「学力」のような気がする。①それは、この景色の内面化のあり方にかかわっている。
それはいくらか、個人の心にかかわってもいる。同じ知識を得るにも、そこに歓びがあったか、同じ技能を得るにも、それを楽しんで身につけたか、そのことが彼の心に刻み付けられている。( イ )、試験というもので、そこまで見るのは無理だろう。むしろ、そこを断念すべきかもしれない。試験というものは、幾分かは断念の上にだけ成立する。心には踏みこまないというのが、試験の限界と考えるべきかもしれない。ぼくの心を他人に図られるのはいやだ、②そう言って拒否してもよさそうだ。
それでも、良質な試験としては、できるだけ彼の世界を判断しようとすることはできよう。例えば数学の試験というと、世間では答えの正否だけのように考えられかねないが、実際には答案の表現のあり方から彼の心の世界を探ろうとするものだ。現実の大学入試の探点でも、そうしたことは試みられている。
1.文中の( ア )に入れるのに最も適当なものはどれか。A.そこで | B.しかし | C.ところが | D.たしかに |
2.文中の( イ )に入れるのに最も適当なものはどれか。
A.しかし | B.つまり | C.それで | D.それとも |
3.①「それ」とあるが、何を指すのか。
A.豊かな知識や技能 | B.心の中の数学の世界の一部 |
C.たとえば数学なら数学の世界 | D.ただの知識や技能ではない本当の学力 |
4.②「そう言って」とあるが、どのように言うのか。
A.知識や技能の内面化は難しい。 | B.自分の心の中は見られたくない。 |
C.試験は知識や技能を見られない。 | D.試験というものには限界がある。 |
5.この文章で筆者が一番言いたいことは何か。
A.心の中の豊かさまでも調べられるのがいい試験だ。 |
B.どのぐらい知識や技能があるかを、詳しく調べられるのがいい試験だ。 |
C.数学なら数学の知識や技能を、楽しみながら調べられるのがいい試験だ。 |
D.知識や技能がまったくなくても、よく考えれば答えられるのがいい試験だ。 |
6 . 労働力調査によると、2022年における非正規社員は2101万人である。これは前年比で26万人の増加で、雇用者全体に占める比率は36.9%である。これら非正規社員の人達に、なぜ現職についているのか、その主な理由を聞いた。
男女別の全体比率で見ると、男性では「正規の職員の仕事が無い」よりも「自分の都合のよい時間に働きたい」のほうが値は大きく、差異は15.1%ポイントである。前者は非正規雇用問題でよく問題視される「正規雇用の椅子が減らされ、その分非正規雇用の椅子が増やされるので、そちらの椅子に座らざるを得なくなる」との指摘に該当する事例だが、男性においては16.1%が同意を示すことになる。他方後者の「自分の都合のよい時間に働きたい」をはじめ、「専門的な技術などを活かせる」「家計の補助·学費などを得たい」とするポジティブ、自発的な意見が続く。
女性は男性同様に「自分の都合のよい時間に働きたい」がもっとも多く、「家計の補助·学費などを得たい」が続く。いずれも兼業主婦のパート·アルバイトでよくありがちな理由である。男性では第2位となったネガティブな理由「正規社員としての仕事が無い」は1割足らない。これを人数別に見ると合計では、男性と女性を比較すると、女性のほうが非正規社員は多いこともあり、「自分の都合のよい時間に働きたい」が群を抜いて最上位に、次いで「家計の補助·学費などを得たい」が続き、「正規の職員の仕事が無い」は第4位の理由に落ち着く。
1.文章によると、2021年における非正規社員はどのぐらいいるか。A.2075万人 |
B.2085万人 |
C.2101万人 |
D.2127万人 |
A.正規社員の仕事 |
B.非正規社員の仕事 |
C.兼業主婦の仕事 |
D.アルバイトの仕事 |
A.15.1% |
B.16.1% |
C.31.2% |
D.36.9% |
A.椅子は壊れた | B.就職できない |
C.座る椅子がない | D.立って仕事をする |
A.専門的な技術などを活かせるから |
B.正規社員としての仕事が無いから |
C.自分の都合のよい時間に働きたいから |
D.家計の補助·学費などを得たいから |
7 . 司会:前回の話し合いでは、学級ごとに発表することが決まりました。今回の話し合いは、その発表内容についての報告です。それでは、一組から報告してください。
一組代表:はい。一組はいくつか案が出た中で、二つに絞りました。一つは詩の朗読でもう一つは劇です。両方とも、全員で取り組むことができて、時間内に収まるのですが、それぞれによさがあり、まだ決定していません。もう一度話し合って決めたいと思います。
司会:そうですか。来週金曜日には発表内容を担当の先生に提出します。学級の話し合いは、いつごろ行いますか。
一組代表:はい。来週火曜日に話し合いの時間を取るようにします。
司会:その次の日が、三回目の話し合いになっているので、それまでに決定するようにお願いします。それでは、二組の発表内容を報告してください。
二組代表:はい。二組は、音楽の時間に練習した合唱曲二曲を全員で歌うことに決めました。話し合いの中で、「音楽の時間に歌った曲がとても良い曲だったので、またみんなで歌いたい」という意見や「それなら練習に時間がかからず、しかも上手に歌える。」という意見が出たからです。
司会:それなら、テスト前でも短い時間で準備ができそうですね。合唱の練習についてはどのようにしますか。
二組代表:はい、もうすぐテスト前で部活動が休みになります。だから、時間は放課後、場所は第一音楽室を借りて練習したいと思います。
司会:そうですか。音楽室を使う時は先生に許可を取るようにしてください。最後に、三組の報告をお願いします。
三組代表:はい。三組では、学級目標と専門部の仕事内容について発表することになりました。
司会:もう少し詳しく教えてもらえますか。前回の話し合いで発表時間は十分以内と決めましたが、守れそうですか。
三組代表:はい。確かに、詳しく発表していたら時間がかかりそうですが。(А )目標達成に向けた取組について、代表者が短くまとめて発表することにしました。
司会:わかりました。それぞれの学級の特長が出る発表になりそうですね。学年集会が楽しみです。一組も、前回の話し合いで確認した①二つのことを踏まえて考えてきてください。
次回の話し合いは来週の( B )です。発表の順番を決定し、リハーサルの打ち合わせをします。
学年の話し合いを受けて、一組の代表は、担任の先生に発表内容の話し合いについて相談にいきました。
一組代表:先生、学年集会で発表する内容を学級で話し合いたいのですが、来週火曜日に行ってもよろしいでしょうか。
担任の先生:いいですよ。前回で学級での話し合いでは、いろいろな意見が出て大変でしたね。でも、せっかくの機会だから時間を掛けて納得のいく話し合いにしようとしたことは、良いことだと思いましたよ。二組と三組の発表内容はどのようなものでしたか。
一組代表:( Ⅽ)ようです。どの学級も工夫しているので、もう一度よく考えて決めたいと思います。そして決まったら、②全員協力して取り組みます。
1.二組代表の発言について説明しているものとして、最も適切なものを、次のАBCDから一つ選んでください。A.話し合いの流れに沿って、出された多くの意見を順番に示している。 |
B.結論から伝えて、なぜその内容になったかという理由を後で述べている。 |
C.対立している考えるを示し、どちらの意見がより適切かを説明している。 |
D.代表としての考えを述べ、意見をまとめる苦労について伝えている。 |
A.しかし | B.つまり | C.また | D.そこで |
A.月曜日 | B.火曜日 | C.水曜日 | D.木曜日 |
A.学級目標と専門部の仕事内容 | B.詩の朗読と合唱 |
C.詩の朗読と劇 | D.劇と発表 |
A.話し合いはしたものの、意見が分かれて決定できなかった。 |
B.合唱を披露したり、学級目標などを紹介したりする。 |
C.練習時間を短くするため、音楽の時間に学習した合唱曲を歌う。 |
D.学級目標を紹介した後、行動目標を専門部ごとに発表する。 |
A.結束 | B.分裂 | C.解散 | D.個別 |
A.来週の木曜日 | B.来週の月曜日 |
C.来週の火曜日 | D.来週の金曜日 |
8 . 自分の過去の経験、とりわけ幼いころの経験が、誰にとってもこれは①いとおしいものなのです。自分の子供のころの経験というのは、人間にとって何か最も心暖まる思い出であり、子供であった時の世界というのは、個人の人生における、一つの故郷なのです。
②故郷というのは別に山があったり川があったりする故郷ではなくて、経験の故郷というのは幼児期に戻っていきます。「僕が子供だった時には」とか、「俺が小学校三年生のころには」などと、もう相当年配の方でも、あるいは年配の方になればなるほど子供時代を懐かしみ、子供時代をいとおしむ感情というものが戻っていくような、心の故郷です。本当の心が戻っていく経験の原型というのは子供時代にあるのです。
その子供時代の経験に比べてみて、現代はいかに変わっているか。そこで耐えられない気持ちになるわけです。自分の子供のころに自動車というものはなかった。原っぱで野球ができた。それから道路で自転車に乗れた。しかし、今は自動車がやたらに走っていて、人間はもう危険で歩けない。今の子供は気の毒だ、かわいそうだ。③これは非人間的である。そういうふうに飛躍するのです。ということは、人間本来の姿というのは、かなり私たち個人の勝手な独断によって創られているイメージではないかということなのです。本来の姿というのは、俺が子供ころのようにしろという、それだけのことを言いたいのではないか。もちろん、真剣に考えている人もたくさんいますが、現在の人間性回復論というものは、その点でものすごく甘いし、ずいぶん身勝手だと思います。
1.①いとおしいと意味が同じなのは、何か。A.なつかしい | B.かわいらしい | C.うつくしい | D.たのしい |
A.人生に迷いを感じたときに、心の温もりを与えてくれるところ |
B.思い出がいっぱいあり、人生の中の大切な人と一緒に過ごしたところ |
C.子供時代の思い出がある世界で、思い出すと心に安らぎを感じるところ |
D.幼いころ、仲間と一緒に遊んだりした美しい景色が楽しめるところ |
A.現代の子供は遊び場がなく、かわいそうだということ |
B.道には自動車が多く走っていて危険で歩けないこと |
C.昔は原っぱで野球ができたこと |
D.道路で自転車に乗れたこと |
A.人々は心の故郷がいつまでも自分の思い出のままで、変わらないでほしいと思っている。 |
B.子供時代の思い出は人々にとって故郷そのものであり、その思い出の中に真の人間性が育まれている。 |
C.今の世の中は危険で非人間的なので、人間性回復論を掲げることで人間本来の姿を取り戻さなければならない。 |
D.心の故郷を懐かしむのはけっこうなことだが、人間本来の姿は個人によって創られたイメージであり、今の人間性回復論には賛成できない。 |
9 . 個性の重視ということが注目されるようになって以来、「子どもの興味を尊重し、一人一人の子どもが興味を持つこと、「やってみたい」ということを好きにやらせることが、個性の重視である」という解釈が広がりました。しかしその結果、社会生活上のしきたり(注 1)や習慣を教える機会を失ったと悩む教師と、好きなことしかやりたがらない子どもをつくってしまったということはないでしょうか。個性の重視とは、「二人と同じ人間はいない、つまり人は一人一人異なる存在である。(ア)、一人一人が異なった興味や価値観を持つのは当然である」という考え方を肯定する人間観を意味しているのです。
(中略)
子どもの興味や関心は日々変化する可能性があります。しかし、何らか(注 2)の形でその対象を知る機会がなかったなら、興味を持つこともないのです。小学生はまだまだ経験の幅が狭いものです。ですから、おのずと(注 3)興味や関心を持つ対象も、非常に限られた範囲のものになります。さまざまなものに興味を持つのを待つばかりでなく、興味が持てるように、さまざまな体験ができるようにすることが大切です。
(渡辺三枝子『キャリア教育-自立していく子どもたち』による)(注 1)しきたり:昔からの決まり
(注 2)なんらかの:何かの
(注 3)おのずと:自然と
1.文中の「その」の指すことはどれか。
A.「やってみたい」ということを好きにやらせること |
B.一人一人の子どもが興味を持つこと |
C.子どもの興味を尊重すること |
D.個性の重視への解釈が広がったこと |
A.すると | B.でも | C.だから | D.それに |
A.個性の重視ということが間違って解釈されている点 |
B.個性の重視ということが注目されている点 |
C.個性の意味についての解釈が定まっていない点 |
D.教師が社会生活上のルールを教えていない点 |
A.それぞれの望むことを自由にさせる。 |
B.それぞれの興味や価値観を尊重する。 |
C.他人より優れた点を高く評価する。 |
D.他人との違いが大きいほうがよいとする。 |
A.子どもの興味や関心は変わりやすいので、注意深く観察することが必要だ。 |
B.子どもの興味や関心が広がるように、多様な体験の機会を与えることが重要だ。 |
C.子どもの自主性を尊重し、自身で新しい興味や関心を見つけ出すのを待つべきだ。 |
D.子ども自身が見つけた興味や関心に注目し、それを集中して経験させたほうがよい。 |
10 . 地震で家を失い、近くの学校の体育館で生活することになりました。それと同時に、家族が50人に増えました。
①その日は、なんとか食べ物を得ることができましたが、次の日から1週間ぐらいは食べるものに困っていました。アルバイトをしている病院に行ったら、食べ物はありました。しかし、体育館にいる人は食べていないのに、私だけ食べることはできませんでした。②___、水を飲んで、お腹が空くのを忘れようとしました。
2,3日すると、一緒に生活していた人たちもだんだん生活に慣れてきて、自然に役割が決まりました。例えば、力のある男の人はいつも水を運んでくれました。お年寄りは小さな子供たちの世話をしました。私にとって、大学生のお姉さんは何でも相談できる姉になりました。小学生の子供たちはみんな私のかわいい弟、妹になりました。
日が経つにしたがってだんだん問題が出てきました。例えば、多くのお年寄りと子供が同時に風邪を引きました。暖房も暖かい布団もなかったからです。そこで、それぞれの家が布団を1枚ずつ出して、風邪を引いた人の看病をしました。今まで近所の人たちと③こんなことはしませんでした。母親たちの力はすごかったです。自分の壊れた家の瓦礫(砖瓦)を持ってきて火を起こし、お湯でみんなの頭を洗ってくれました。そのころになると、私はただ感心するばかりで、地震の恐ろしさを忘れていました。
あるテレビ番組で「被災者を見てかわいそうだと思ったから、ボランティアに参加しました。」と言う人を見ました。私はそれを見て④頭に来ました。体育館で一緒に生活する人たちは「私は前より楽しく暮らしているぞ」と言って、大笑いしていました。そんな家族に守られて、あまり落ち込んでいる暇はありませんでした。
1.①「その日」とはいつか。
A.体育館へ引っ越した日 |
B.地震が起きてから1週間経った日 |
C.病院へ行った日 |
D.風邪を引いた日 |
A.それで | B.しかし | C.しかも | D.または |
A.風邪を引いたこと | B.水を運んでくること |
C.風邪を引いた人の看病をすること | D.髪を洗ってくれること |
A.嬉しくなりました。 | B.悲しくなりました。 |
C.感動しました。 | D.怒りました。 |
A.地震と食べ物の関係 | B.50人のすばらしい家族 |
C.お年寄りと頑張る母親たち | D.地震のボランティア |