1 . 例えば突然の病気や怪我で、暫く入院生活を①余儀なくされてしまった場合、大抵、人は「ああ、なんて回り道(注1)に入ってしまったんだろう」と、くよくよ悩んで、落ち込んでしまうことが多い。「何ということだ。こんなところで大人しくしていなけりゃならないなんて、時間も暇もないというのに。」と、ついベッドで、ぎりぎりと歯軋りしてしまう。取り残されたような気分の中で。
こうした回り道体験を、損だと考えると、②それはマイナスの体験でしかなくなってしまう。(ア)、「しばらく一休みをして自分を見直す、きっといい機会なのだ。自分をここで振り返りなさいという知らせなのだ。」と、③とらえれば、決して悪いことではない。それは逆に自分を見直すいい機会となる。
私の友人は、転んで大脚部の骨を複雑骨折し、あらかた一月近くもの入院を余儀なくされた。普段から楽天家の彼は、いいチャンスとばかり、買い置さしていた折口信夫の全集を読破してしまった。
回り道も時にはこんなふうにメリットになる。
(注)回り道:绕远路
1.①「余儀なくされてしまった」とはどういう意味か。A.仕方なくされる | B.せずにはいられない |
C.無理矢理にされる | D.わけなくされる |
A.それに | B.だが | C.そいえば | D.なぜ |
A.回り道体験 | B.入院生活を余儀なくされてしまったこと |
C.自分を振り返らないこと | D.自分を見直すこと |
A.不確かなこと、わかりにくいことを自分の視野や知識の中に収めること |
B.しっかりとつかむこと |
C.動くものを取り押さえること |
D.身につけること |
A.誰でも回り道に入ってしまったときに、くよくよ悩んで、落ち込んでしまうことが多い。 |
B.こうした回り道体験を、損だと考えると、それはマイナスの体験でしかなくなってしまう。 |
C.回り道経験は逆に自分を見直すいい機会である。 |
D.回り道も人生を豊かにしてくれるいい経験である。 |
2 . 飼い主によくなついた(亲近、顺从)犬は、映像の中の自分と他の犬を見分けている可能性があるとする論文を日本の研究チームが発表している。飼い主が他の犬をかわいがる様子と、自分と飼い主が交流する様子を見たときでは心拍数の変化が見られたという。嗅覚に優れる犬は視覚に頼った生活をしていないとされているが、親しい人間がかかわると例外的な反応をするようだ。
イルカやゾウなどの動物は、映像や鏡で自己の姿を認識する能力を持つことが明らかになっている。(ア)動物は共通して高度な社会認知能力を持つが、同様に社会認知能力を持つ犬が自己を認識できるかどうかは分かっていなかった。
飼い犬が他の犬に“嫉妬”のような感情を持つとする先行研究を前提として研究チームは検証を行った。
実験では、鏡を見ることに馴れた12匹の犬に「飼い主が他の犬と交流しない」「飼い主が自分と交流する」「飼い主でない人が他の犬と交流する」「飼い主が他の犬と交流する」の4パターン映像を見せて、自律神経系の反応を心拍変動解析を用いて評価した。結果を見ると「飼い主が他の犬と交流する」映像と「飼い主が自分と交流する」映像の間で自律神経系の反応に有意な差はなかったという。(イ)、飼い主への愛着行動スコアが高かった犬のほうが自分が映っている映像に対して「興奮あるいは緊張状態」になったことが分かったという。
実験結果を受けて研究チームは、犬は映像で自己と他個体を区別することができるとは言えないものの、飼い主への愛着が強い犬については自律神経系が異なる反応を示すと結論づけた。今回の実験ではサンプル数が限られていたため、今後はさらなる研究が必要になるとしている。
1.映像で自己と他個体を区別することができるとは言えないのはどれか。A.イルカ | B.ゾウ | C.イヌ | D.ニンゲン |
A.嗅覚の優れている犬 | B.視覚の優れている犬 |
C.自分と他の犬を見分けられる犬 | D.飼い主への愛着が強い犬 |
A.この | B.こうした | C.あの | D.ああした |
A.だから | B.一方で | C.それに | D.そこで |
A.飼い主によくなついた犬は、映像の中の自分と他の犬を見分けている |
B.嗅覚に優れる犬は視覚にまったく頼らず生活をしている |
C.犬は映像で自己と他個体を区別することができる |
D.今回の実験ではサンプル数が多くない |
3 . 『花屋ダイヤリー』は一軒の花屋が舞台の小説です。花屋のアルバイト店員と、花を買いに来るさまざまな客との関りが、丁寧に描かれています。
作者の山口しずかは2012年に「一人」で小説最優勝賞を取った注目の女性作家です。若者の純粋さを、愛情を持って表現するところに人気があります。
『花屋ダイヤリー』では、学校にも行かず仕事もしない17歳のユウが主人公です。何にも興味を持っていなかったユウは、小さな花屋でアルバイトを始めます。そこには毎日、一輪だけ花を買いに来るおばあさんや、ゲーム機はと交換に花を買いたいと言う小学生など、少し変わった客が次々と現れます。客はみなユウに花を選んでほしいと言います。困ったユウは、どうしてその花を買いたいのか、だれのための花なのかなど、事情を客に尋ねます。
客と話をするうちに、ユウは人との関係の大切さや働く意味など、いろいろなことを考え、変わり始めます。何の喜びもない日々を送っていたユウが、働いて人の役に立つ中で明るくて強くなっていく様子に、読者は元気づけられるでしょう。それは作者から読者へのエール(加油声)でもあります。( ア )、たくさんの花の名前と花言葉が紹介されているので、だれかに花を贈るときに役に立つ知識も得られます。
人間関係に少し疲れているときや目標が見つけられないときに読むと、人が好きになり心が元気になる一冊です。ユウと同年代の人にぜひ読んでほしいです。
1.文章によると、山口しずかはどんな人か。A.若い女性の作家 |
B.若者に人気がある作家 |
C.賞を受けたことのある人気の作家 |
D.自分のことを小説に書いた人 |
A.何にも興味を持てなかったこと |
B.一輪だけ花を選ぶのは難しいこと |
C.ゲーム機と同じ値段の花が分からないこと |
D.だれのための花なのかなどのこと |
A.ずっと仕事もしなかったユウが変わったことをしたから |
B.学校に行かなかったユウが学校に行くようになったから |
C.何事にも無関心だったユウが明るく強く変わっていくから |
D.仕事をしなかったユウがアルバイトを始めたから |
A.まだ |
B.でも |
C.すると |
D.また |
A.人は社会で働いて変わっていけるということ |
B.たくさんの花には花言葉があるということ |
C.ユウが何の喜びもしない日々を送っていること |
D.誰かに花を贈るときに役に立つということ |
4 . 自分で行動してみようと思えば、意外とできるものだ。(ア)、私の例をひこう。
私は子どものころから引つ込み思案で恥ずかしがりだった。人前で話をするなんてとんでもない。人前に出ると、顔を赤らめ、ぼそぼそしゃべるばかりだった。とにかく、人の前に出てなにかをするというのが苦手だったのだ。(イ)、予備校で教えることになったときも、「人前で話をするなんて無理ではないか」「人前でもし失敗してしまったら、もう立ち直れないのではないだろうか」と思った。特に、予備校でパフォーマンスを行いながら、みんなにわかるように説明することなどできそうもなかった。が、とりあえずやってみた。ところが意外と才能があった。一生懸命やってみると、人並みにはできた。もっと工夫していると、いつのまにかカリスマ講師と言われるようになった。そして、「小論文の神様」と呼ばれるまでになっていた。そんなものなのだ。
あのとき、自分でしり込みしていたら、少なくとも今の私はなかった。その後の私の人生が、ある程度成功だったとすると、この成功を導いたのは、自分ができることの限界にこだわらなかったことが要因の一つに挙げられる。自分はこうたと思い込んでしり込みするのでなく、何かに挑戦して、新しい自分を作っていくこと。それこそが大切なことなのだ。
注:引つ込み思案:畏缩不前;パフォーマンス:表演、演出;人並み:普通;カリスマ:超凡的;しり込みする:撤退・退缩。
1.(ア)の中に入れるものとして、一番適切なのはどれか。
A.それから | B.また | C.例えば | D.でも |
A.引つ込み思案で恥ずかしがりだった |
B.人前で話をするなんてとんでもないと思っていた |
C.人前に出ると顔を赤らめ、ぼそぼそしゃべるばかりだった |
D.人の前に出てなにかをするというのがわりと得意だった |
A.すると | B.だから | C.それに | D.しかし |
A.予備校の講師は、難しく見えて実は節単なものだ |
B.人間はみんなやればできるし、なんとかなるものだ |
C.カリスマになるのは難しいが、小論文は簡単だ |
D.演説をするのは一度やってみたら意外に楽しいものだ |
A.自分ができることに限界を設けず、一生懸命にやった |
B.自分ができることの限界にこだわり、そこまで頑張った |
C.自分はこうだと思い込んで、その通りになるようにした |
D.新しいことに挑戦しない人を見て、アドバイスするようにした |
5 . 予定がないと不安になる人がいる。先日、喫茶店で見かけた女性がそうだった。
彼女はバッグのなかから赤い手帳を取り出して、しばらく眺めていた。そして突然電話をかけ始め、次々と飲み会や食事やデートの約束をして、手帳に予定を書き込んでいった。( ア )、どうしても予定の埋まらない一日があるようだった。
空白の木曜日。それが彼女には我慢できなかったらしい。最後には、いつも行っている美容院に電話をかけ、この間かけたパーマが気に入らないので、もうー度かけ直してほしい、来週の木曜日しか空いていないから木曜に予約を入れてほしいと主張し、とうとう木曜日の予定を( イ )に入れた。彼女は、真っ黒に埋められたページを見っめて、満足そうにほほえんだ。
一方、私の手帳は真っ白だ。正確にいうと、昨日までの過去にはいろいろ書かれているが、今日から先はまるで白紙。未来には何も書かれていない。彼女のように私も手帳を開いた。しかし、見つめても見つめても、予定は何も思い浮かばなかった。
1.下線の「喫茶店で見かけた女性」はどんな人だと言っているか。A.彼女はとてもいそがしくて、空いている時間がない。 |
B.彼女は電話が好きで、話す相手がいないと不安になる。 |
C.彼女は髪型を変えるのが好きで、よく美容院へ行く。 |
D.彼女はスケジュールが埋まっていないと不安になる。 |
A.または | B.しかも | C.だから | D.しかし |
A.心 | B.手 | C.頭 | D.身 |
A.美容院の予約ができたこと | B.木曜日の予定がなくなったこと |
C.手帳の空白がなくなったこと | D.いろんな友達と約束ができたこと |
A.いろいろ書かれているので、予定がわかりにくい。 |
B.あちこちに何も書かれていない白いページがある。 |
C.これからの予定はひとつも書かれていない。 |
D.手帳は持っているが、中は真っ白だ。 |