8 . 近年中国で若者の間に流行した社会現象に「内巻」というものがある。内巻とは、学校、職場、社会生活などで、非理性的な競争が繰り返され、その結果、競争が激しくなるだけで、誰も勝者になれないという意味だ。
(ア)、4年制大学の勉強を終え、本来なら普通に就職ができるのに、もっとよい就職をしようと考え、修士課程に進学する。進学した人たちは、就職競争に負けないように、みんな全部一生懸命勉強し、修士を修了する。結局、修士が普通となり、就職の厳しさは4年制の卒業時と変わらない。
また、映画館で前の座席の人が立ち上がったら、後ろの列の人は見えなくなるため、立ち上がる。2列目、3列目、最後の列と、結局、みんな立ち上がってしまうという例えだ。一方、職場の残業がある。本来は労働時間8時間となっているのに、社員の1人が自分の頑張りをアピール(呼吁;宣扬:魅力)するため残業する。そうすると、残業しないと頑張っていないような雰囲気になり、みんなが残業してしまう。業績は別に上がっていないし、収入もよくならないのに、みんなが疲れ、得する人が1人もいない。
このように、多くの若者が無駄な社会競争に追い詰められている。幸福を感じられなく、ただ毎日ロボットのように動いているだけだという認識である。しかし、そう思っていても、簡単にレール(轨道)から降りることができない。だから、「996」(朝の9時から夜の9時まで、週6日間の勤務体制)から「寝そべり族(躺平)」(頑張らなく、低欲望な生活)という生活スタイルを選ぶ若者がどんどん増えていくでしょう。
(時事通信社「金融財政ビジネス」より)
1.
文中の「内巻」の意味はどれか。A.学校、職場、社会生活などで、非理性的な競争が繰り返され、結局、競争が激しくなるだけで、誰も勝者になれないという意味だ。 |
B.学校や社会生活で、非理性的な競争が繰り返され、結局、競争が激しくなく、誰も勝者になれないという意味だ。 |
C.学校、職場、社会生活などで、理性的な競争が繰り返され、結局、競争が激しくなって、誰も勝者になれないという意味だ。 |
D.学校や社会生活で、理性的な競争が繰り返され、結局、競争が激しくなって、誰も勝、者になれないという意味だ。 |
2.
文中の(ア)に入れるのに最も適当なものはどれか。3.
筆者は「内巻」について、いくつの例を挙げましたか。4.
この文章の内容に合っていないものはどれか。A.進学した人たちは全部一生懸命勉強し、修士を修了して、修士が普通となって、就職の厳しさは4年制の卒業時と変わらない。 |
B.映画館で前の座席の人が立ち上がったら、後ろの列の人は見えなくなって、立ち上がるとは限らない。 |
C.本来は労働時間8時間なのに、社員の1人が自分の頑張りを宣言するため残業する。 |
D.業績は別に上がっていないし、収入もよくならないが、みんなが疲れる。 |
5.
この文章で筆者が最も言いたいことはどれか。A.無駄な社会競争が多くの若者を追い詰めていない。 |
B.若者はみんな幸福感があって、毎日機械のように動いている。 |
C.そう思っていても、簡単にレールから降りられる。 |
D.「寝そべり族」という生活スタイルを選ぶ若者がどんどん増えていくだろう。 |