1 . ずっと昔にこれとまったく同じ風景を 1 (見る)ことがあるような気がした。広い芝生の庭があって、海が見えて、テニスコートがあって、兎と山羊がいて、双子の女の子がオレンジジュースを飲んでいて......という 2 (風景)だ。でも、これはもちろん 3 (錯覚)だった。僕がこの病院に来たの 4 これがはじめてだったし、庭や海やテニスコートはともかく、兎や山羊や双子の女の子までがどこか別の場所にも同じ 5 (ようだ)いたなんて、ちょっと 6 (考える)ことだった。
僕はコーヒーを飲んでしまうと両足を 7 (揃う)むかいの椅子の上にのせ、目を閉じ大きく一度息をした。目を閉じると、ぶ厚い暗闇の中にしこりのようなもの 8 見えた。それは白いダイヤ型のガス体で、顕微鏡 9 見る微生物みたいに膨らんだり縮んだりした。奇妙なものだった。
しばらくして目を開けた時、四人づれの親子の 10 (すがた)はなく、食堂は僕一人きりになっていた。それから僕はタバコに火をつけ、退屈した時にいつもそうするように、ずっと煙の形を眺めて時間をつぶした。
1.2.
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2 . 約束の時間になっていとこが診察室に入っていく 1 を見届けてから僕はエレベーターで一階に下り、食堂に入った。ショーケースに入っている食品見本は 2 もまずそうだったが、お腹も減っていたので、僕は比較的ましに見えるパンケーキとコーヒーのセットを注文してみた。運ばれてきたものに口をつけて 3 、コーヒーの味は悪くなかったが、パンケーキの方はちょっと 4 代物だった。冷えていて中が水っぽく、おまけにシロップが 5 すぎる。僕は何とか半分 6 は喉の奥に押しこんだが、あとはどうしようもなくて皿を向こうに押しやった。
平日の午前中ということもあって、食堂には僕の 7 には家族が一組いるだけだった。四十代半ばと見える父親が入院患者で、母親と二人の小さな女の子が見舞客だった。女の子は双子で、揃いの 8 を着て、どちらもかがみこむような格好でオレンジジュースを飲んでいた。父親のけがだか病気だかは見たところ 9 重いものではないらしく、両親の方も子供たちの方も、それぞれに退屈 10 表情を顔に浮かべていた。話すことがないのだ。
1.A.の | B.こと | C.もの | D.わけ |
A.どこ | B.どちら | C.どれ | D.だれ |
A.みては | B.みるなら | C.みると | D.みれば |
A.ひどい | B.おいしい | C.ひろい | D.ひくい |
A.甘い | B.甘さ | C.甘く | D.甘 |
A.しか | B.だけ | C.まま | D.まで |
A.わけ | B.ため | C.ほか | D.かわり |
A.ワンピース | B.ズボン | C.ネクタイ | D.スカート |
A.それから | B.それなら | C.それほど | D.それでは |
A.ような | B.らしい | C.みたいな | D.そうな |
タバコが高いからだ。店や種類で差はあるが、だいたい1箱が7ドルくらい。1本45円ほどとなれば、火をつけた直後にバスが見えたとき、舌打ち(咂嘴)しながらも消さない愛煙家がいておかしくはない。値段が高いだけでなく、町全体がタバコに極めて厳しい。①建物の中で吸えるところは、自宅のほかはまずない。市内に数店の「シガーバー(雪茄吧)」以外は飲食店も禁煙だ。市民の喫煙率は19%というが、タバコを吸っている人に出会うのがほとんどないためか、喫煙者はもっと少なく感じられる。
先ごろの厚生労働省の発表によれば、日本の男女合計の喫煙率は24%と、過去最低を更新した。ニューヨークと5%しか違わない。その割に喫煙者が多いように思えるのは、受動喫煙をかぶる場面が多いせいだろう。中でも飲食店はひどい。隣のテーブルですぱすぱ吸われるのはよくあることだ。同じテーブルを囲む仲間に気を使い、こっちに向けて煙を吐く迷惑な者もいる。仲間は大事だが他人はどうでもいいらしい。
東京にある禁煙広報センターが、一昨年喫煙者に聞いた。約2000人の半数が1箱500円ならやめると答えたそうだ。日本はタバコが安すぎるし、煙の居場所に寛大すぎるようだ。②「スモークハラスメント」という言葉がある。喫煙者の煙で嫌な思いをしている人がいるということを愛煙家に知っておいてほしいと、今月末の世界禁煙の日を前に思う。
1.日本のことについて正しく述べているものはどれか。
A.タバコを吸っている時にバスが来ても、バスに乗らずにタバコを吸い続ける。 |
B.タバコを吸っている時にバスが来たら、そのままバスに乗ってタバコを吸う。 |
C.タバコを吸っている時にバスが来たら、タバコを吸うのをやめてバスに乗る。 |
D.バスを待つときにはいつもタバコを吸いながら待つ。 |
A.タバコが高いので、バスに乗ってもタバコを消さない。 |
B.「シガーバー」でもタバコを吸ってはいけない。 |
C.喫煙率の数字よりもっとタバコを吸う人が少なく感じられる。 |
D.外ではタバコをあまり吸わないが、飲食店でタバコを吸う人は多い。 |
A.自分の家以外の建物の中では、たいていタバコを吸ってもよい。 |
B.自分の家以外の建物の中では、タバコが吸えるところはほとんどない。 |
C.自分の家以外では、建物の外でしかタバコを吸うことができない。 |
D.自分の家以外では、建物の中でも外でもタバコを吸ってはいけない。 |
A.それに | B.しかし | C.しかも | D.それとも |
A.タバコの煙が人に迷惑をかけること | B.タバコを吸うところが多すぎること |
C.タバコを吸う人が少なくなってきたこと | D.タバコの値段が安すぎること |
A.覚える | B.覚えない | C.覚えれる | D.覚えられない |
A.さえ | B.こそ | C.でも | D.ほど |
6 . 飼い主によくなついた(亲近、顺从)犬は、映像の中の自分と他の犬を見分けている可能性があるとする論文を日本の研究チームが発表している。飼い主が他の犬をかわいがる様子と、自分と飼い主が交流する様子を見たときでは心拍数の変化が見られたという。嗅覚に優れる犬は視覚に頼った生活をしていないとされているが、親しい人間がかかわると例外的な反応をするようだ。
イルカやゾウなどの動物は、映像や鏡で自己の姿を認識する能力を持つことが明らかになっている。(ア)動物は共通して高度な社会認知能力を持つが、同様に社会認知能力を持つ犬が自己を認識できるかどうかは分かっていなかった。
飼い犬が他の犬に“嫉妬”のような感情を持つとする先行研究を前提として研究チームは検証を行った。
実験では、鏡を見ることに馴れた12匹の犬に「飼い主が他の犬と交流しない」「飼い主が自分と交流する」「飼い主でない人が他の犬と交流する」「飼い主が他の犬と交流する」の4パターン映像を見せて、自律神経系の反応を心拍変動解析を用いて評価した。結果を見ると「飼い主が他の犬と交流する」映像と「飼い主が自分と交流する」映像の間で自律神経系の反応に有意な差はなかったという。(イ)、飼い主への愛着行動スコアが高かった犬のほうが自分が映っている映像に対して「興奮あるいは緊張状態」になったことが分かったという。
実験結果を受けて研究チームは、犬は映像で自己と他個体を区別することができるとは言えないものの、飼い主への愛着が強い犬については自律神経系が異なる反応を示すと結論づけた。今回の実験ではサンプル数が限られていたため、今後はさらなる研究が必要になるとしている。
1.映像で自己と他個体を区別することができるとは言えないのはどれか。A.イルカ | B.ゾウ | C.イヌ | D.ニンゲン |
A.嗅覚の優れている犬 | B.視覚の優れている犬 |
C.自分と他の犬を見分けられる犬 | D.飼い主への愛着が強い犬 |
A.この | B.こうした | C.あの | D.ああした |
A.だから | B.一方で | C.それに | D.そこで |
A.飼い主によくなついた犬は、映像の中の自分と他の犬を見分けている |
B.嗅覚に優れる犬は視覚にまったく頼らず生活をしている |
C.犬は映像で自己と他個体を区別することができる |
D.今回の実験ではサンプル数が多くない |
7 . 戸籍の氏名に読み仮名を記載し、その付け方にも一定のルールが求められることになった。日本語は漢字と仮名が混在するうえ漢字の読み方も多様な言語だ。その伝統を尊重し、厳正且つ柔軟に対応してもらいたい。
法制審議会の専門部会が戸籍法改正要綱案をまとめた。政府が今国会に改正案を提出し、令和6年度にも施行する見通しだ。
従来、読み方は住民票には記載されるが戸籍にはなかった。マイナンバーカードへの記載など、行政事務のデジタル化に対応するためという。
要綱案では「一般的に認められている読み方」に限るとした。パブリックコメントやアンケ一トで、幅広い年代から一定の制限を求める声が多かったからだ。
親が決めた名前の読み方に規制がかかることをよしとしない意見もある。とはいえ、名前は個人的なものであると同時に、人が社会で生きるための社会性も併せ持つ。近年は「キラキラネーム」と呼ばれる特異な名前も増え社会問題化した。命名で子供に不利益が生じないか、公的に一定の基準を定めるのは当然だ。
(ア)、わが国独特の命名文化を踏まえ、柔軟に対応するとの補足説明も付いた。常用漢字表や辞書に載っていない場合でも説明を求めたうえで判断する。漢字と反対の意味や、連想できないような読み方は認められない。
漢字は古代中国で生まれ輸入された表意文字だ。仮名はそこから発生したわが国固有の表音文字である。中国では基本、一つの漢字に一つの読み方をあてるが、日本では漢字には音読み、訓読みがある。さらに源頼朝の「朝」を「トモ」と読むような「名乗り訓」もあり、独特の命名文化が醸成されてきた。今回はそんな歴史や伝統を踏まえ幅広く裁量を認める。
法制化されると既に戸籍がある人も届け出が必要になるが、その場合は一般的でなくても従来使ってきた読み方も認められる。
1.氏名の読み仮名として認められないのはどれか。A.常用漢字表にあるもの | B.辞書に載っているもの |
C.名乗り訓 | D.連想できない読み方 |
A.賛成 | B.反対 | C.認める | D.納得 |
A.それで | B.一方で | C.すなわち | D.ところで |
A.法制審議会の専門部会 | B.政府 | C.国会 | D.本人や家族 |
A.日本の名前の読み方が多様である |
B.戸籍法改正要綱案はもう施行した |
C.中国では一つの漢字に一つの読み方をあてる |
D.既に戸籍のある人は一般的でない名前の読み方が認められない |
8 . 今や電子メディア(电子媒体)の普及で、たいていの知識や情報は、本でなくても手に入るようになりました。活字メディアよりも速く、(ア)手軽にさまざまな情報を手に入れることができる時代になったのです。楽しみや感動、興奮にしても、映像・音響メディアの発達から、本でなくても深い感動や楽しみを得ることはできます。むしろ、こうしたものは、発達した AV 機器によって本よりも迫力をもって伝えられる時代になりました。原作の本を読むより大画面の大音響のもとで映画化された作品を見るほうが、興奮も感動もずっと大きくなる可能性だってあります。
それでも本でなければ得られないものは何か。それは、知識の獲得の過程を通じて、じっくり考える機会を得ることにある。つまり、考える力を養うための情報や知識と格闘(拼搏,搏斗)をする時間を与えてくれるということだと私は思います。活字メディアの場合、読み手が自分の歩調で、文章を行ったり来たりしながら、「行間(字里行间)を読んだり」「論の進め方をたどったり」することができるのです。言い換えれば、他のメディアに比べて、時間のかけ方が自由であるということです。
文章を行ったり来たりできることは、立ち止まってじっくり考える余裕を与えてくれることでもあります。いかにも真実らしいセリフ(台词)に出会っても、話しているときのように「そんなものかな」と思って十分吟味もせずに納得してしまわない。本の場合、そうしたいかにも真実らしさ自体を疑ってかかる余裕が与えられるということです。
1.文中の「ア」に入れる言葉はどれか。A.しかし | B.だから | C.ただし | D.しかも |
A.文章全体の大まかなあらすじをつかむ。 |
B.文面に表れていない筆者の真意を読み取る。 |
C.意味の分からない箇所を飛ばしながら読む |
D.読み進めながら自分の考えを整理していく。 |
A.半信半疑 | B.納得 | C.関心 | D.感動 |
A.有益な情報を、時間をかけず安全に入手できる。 |
B.正確な情報を、時間をかけず自在に入手できる |
C.詳細な情報を、時間をかけず確実に入手できる。 |
D.多様な情報を、時間をかけず簡便に入手できる。 |
A.本物の教養とはたんなる知識のことではなく、本を読むことによってのみ得られるものであるということ。 |
B.テレビやコンピュータとは異なって、本では受け手の歩調に合わせてメッセージを追うことができるということ。 |
C.いかにも真実らしさをそのまま飲み込まないような思考力を得る機会が、本を読むことで与えられるということ。 |
D.どんなに迫力があっても、映画化された作品を見るより原作の本を読むことのほうが大切であるということ。 |
「ぼくはかれのことが羨ましくて んですよ。」
A.しかたがない | B.ちがいない | C.まちがいない | D.かぎりない |
1.今日は大切な試験があるので、休むわけにはいかない。
2.家族のために、働かないわけにはいかない。