1 . 日本人の生活習慣も時代とともに変わっていく。ほんの少し前までは、春や秋になると、畳を乾燥させるために家の中から畳を外に出す光景があちこちで見られたものであり、どんなに忙しい生活をしている人でもこれだけは続けてきた。畳は暮らしの中に季節感を作り出していたのである。
が、最近では畳がだんだん見られなくなってきている。畳の上に座る、畳の上で家族みんなで食卓を囲む、畳の上に布団を敷いて寝る。客が来れば、その畳の上に手をついてあいさつをする。それが当たり前だった生活はつい昨日のようなことである。畳は日常生活とともにあったのである。
畳という言葉は、古い時代の文字や記録にも出ている。昔から日本人の生活の中にあったものと考えてよいのであろうが、そのころは床に敷く布や毛布のようなものを「たたみ」と呼んでいたらしい。(ア)、使わないときは畳んでしまっていた。つまり、「畳む」ものだから畳という言葉が生まれたのだろうと思われる。
また、昔の詩の中に、「旅に出た人の使っていた畳は動かしても汚してもならない」とある。なぜなら人は旅に出ているときでも故郷に自分の心を残しており、その心は畳の上にも残っている。その畳を留守の間に大事にしないと、旅で危険な目にあったり(遇险)、病気になったりする、と信じられていたからだ。昔は畳は自分一人だけで使うものだったのである。
やがて時代は変わり、畳はだんだん現在のような形と大きさのものになっていく。1人の人が寝られるぐらいの大きさが畳の標準となり、それに合わせて部屋の大きさも決められるようになったのである。最近ではすっかり目立たなくなった畳も長い歴史を持ち、日本の生活文化と深いつながり(关系)を持っているのである。
1.
文中の「これ」を指す意味はどれか。A.忙しい生活をすること |
B.畳を外に出して干すこと |
C.あちこちで畳が見られること |
D.生活習慣が時代とともに変わること |
2.
文中に「畳がだんだん見られなくなってきている」とあるが、その意味はどれか。A.畳があまり使われなくなった。 |
B.畳をまったく掃除しなくなった。 |
C.畳の上に布団を敷いて寝られなくなった。 |
D.畳の上に手をついてあいさつしなくなった。 |
3.
文中の(ア)に入れるのに最も適当なものはどれか。4.
文中に「畳は動かしても汚してもならない」とあるが、その意味はどれか。A.畳は動かさなければ汚れない。 |
B.畳は動かして汚したら大変だ。 |
C.畳は動かしても汚してもいけない。 |
D.畳は動かしてはいいが汚してはいけない。 |
5.
文中の「病気になったりする」人はだれか。A.旅に出た人 | B.家にいる人 | C.畳を汚した人 | D.畳を動かした人 |
6.
畳の大きさの決められた基準はどれか。A.昔の布1枚の大きさ |
B.1人の人が寝るときに必要な広さ |
C.昔の人の標準的な背の高さ |
D.旅のとき自分一人で持てる重さ |
7.
もしこの文章にテーマをつけるとしたら、最も適当なものはどれか。A.畳と日本の旅 | B.畳と日本の気候 | C.畳と日本人の故郷 | D.畳と日本人の生活 |