10 . 「あるとき、夜中にふと目が覚める」と彼は話し始める。
「正確な時刻はわからない。たぶん二時か三時か、そんなものだと思う。でも何時かというのはそれほど重要なことじゃない。とにかくそれは真夜中で、僕はまったくの一人ぼっちで、周りには誰もいない。いいかい、想像して 1 ほしい。あたりは真っ暗で、 2 見えない。物音ひとつも聞こえない。時計の針が時を刻む音だって聞こえない。時計は止まってしまったの 3 。そして僕は突然、自分が知っている誰からも、自分が知っているどこの場所からも、信じられないくらい遠く隔てられ、引き離されているんだと感じる。自分が、この広い世界の中で誰からも 4 、誰からも声をかけられず、誰にも思い出して 5 存在になってしまっていることがわかる。 6 僕がそのまま消えてしまったとしても誰も気づかないだろう。それはまるで厚い鉄の箱に詰められて、深い海の底に沈められた 7 気持ちなんだよ。気圧の 8 心臓が痛くて、そのまま2つにびりびりと張り裂けてしまいそうな、そういう気持ちってわかるかな?」
少年は続ける。「それはおそらく人間が生きている中で経験する一番 9 ことの一つなんだ。本当にそのまま死んでしまいたいくらい悲しくて辛い気持ちだ。いや、そうじゃない、死んでしまいたいということじゃなくて、そのまま放って(放任不管)おけば、箱の中の空気が薄くなって実際に死んでしまう 10 だ。それはたとえなんかじゃない。本当のことなんだよ。それが真夜中に一人ぼっちで、目を覚ますことの意味なんだ。それもわかる?」
1.
( )2.
( )3.
( )A.でなければならない | B.にすぎない | C.でもいいか | D.かもしれない |
4.
( )5.
( )A.くれない | B.もらえない | C.あげない | D.やりない |
6.
( )7.
( )8.
( )9.
( )10.
( )