1 . 「これ、つまらないものですが」と言って外国人にお土産を渡した時、「自分のプレぜントに自信がないのか?」とか、「日本の謙遜と言うのか?」とかと思われるだろう。英語でこの「つまらない」という心に相応しい表現がなかなか見当たらない。しかし、「つまらないもの」という言葉の裏側には、謙虚な姿勢を示すためだけでなく、本当は別の理由がある。
日本人は古来から、何か好意を受けたらいつまでも覚えていて、将来報いをしなければならないと考える。だから、日本人は「先日はありがとうございました」というようなお礼の言葉を述べる。以前に何か好意を受けたことを、その次に会った時に必ず話題にするのだ。こういう習慣が発展すると、「何か贈り物をすること=何か見返りを期待すること」と解釈されてしまう恐れが出てくる。そこで、相手にそんな負担をさせないために、「つまらないもの」というのは、実は、「お返しの心配のいらないものだ」という言葉の代わりだったのだ。(ア)、相手に対する思いやり、愛の心から出た言葉なのだ。
他にもいろんな例が見られる。例えば、バスで席を譲ってもらったおばあちゃんは、「ありがとう」と言うよりも「すみません」と言う人が多い。これに対して外国人が不思議がる。
日本人が、外国人が「ありがとう」と言うべきと思う場面で「すみません」と言ってしまったり、価値のあるものなのに「つまらないもの」と表現するのは、こういう愛の心がいつも裏側にあるからだと思う。
1.文中に「別の理由」とあるが、それは何か。A.相手に負担をかけるかどうかと心配している。 |
B.何か贈り物をすることで、将来何か見返りを期待している。 |
C.英語で「つまらない」という心に相応しい表現が見当たらない。 |
D.日本人は古来から何か好意を受けたらいつまでも覚えている習慣がない。 |
A.お土産を渡した時、いつも外国人に謙虚な姿勢を示す。 |
B.受けた恩にいつかお返しをしなければならないと思っている。 |
C.他人から何かをもらった時、将来何か見返りを期待している。 |
D.好意を受けたら、その次に会った時に謝る言葉が必ず話題になる。 |
A.すると | B.しかも | C.だから | D.つまり |
A.席の隣に立っている人に声をかけたかったため |
B.席の隣に立っている人に迷惑をかけてしまったため |
C.席を譲った人に迷惑をかけたと思ったため |
D.席を譲った人に負担をかけて謝罪するため |
A.「つまらないもの」の裏 | B.他人への思いやり |
C.日本人が不思議に思う言葉 | D.日本人の謙虚さ |
2 . 「最近の若者は…」という言葉は古代から言われていたが、インターネット全盛の現代にあっても変わらぬ流行を保っているようだ。私の少年時代に若者批判を浴びたのはテレビゲームだが、今度のやり玉(众矢之的)は「(ア)」とその中毒性があげられている。
子どもたちの学力に注視し続けてきた聡子さんは、「2017年以降、子どもたちの集中力は著しく低下しています。10秒程度で目の前のものに飽きてしまうのは今や当たり前のことのようになってしまっています。物事を表面的にしか捉えられない子どもが増えたし、理解力もかなり落ちている」と言った。その言葉には悲痛なものが含まれている。
また、教育の実態をよく知っている平塚俊樹氏は言った。「4時間も動画を見続けられるのは『集中力があるのでは?』と勘違いしそうになりますが、4時間ずっと何か一つの動画を見続けているわけではなく、15秒程度のショート動画がどんどん目の前で移り変わっていくのを4時間見続けているので、集中力は養われるどころか、失われていっています。」
私も20年ほど中高生の様子を間近で見てきたが、こうした印象を受けたことはない。学力の低下にしても、集中力の低下にしても「もの」が直接的な原因であることはほとんどない。それらはすべて人間が自分の判断で利用しているに過ぎないからだ。大事なのはコントロールをすること、本人が未成熟ならば保護者がそれを代替することが重要であって、「もの」を犯人にすることが根本的な解決にはない。そうしたやり方は進歩や技術を否定し、衰退の道を歩むことにしかならないのではないか。
1.文中の(ア)に入れるのに最も適当なものはどれか。A.テレビ | B.ゲーム | C.インターネット | D.ショート動画 |
A.2017年前より今の子どもたちの集中力は低くなってきた。 |
B.すぐ目の前のものに飽きてしまう子どもが多くなった。 |
C.物事を表面的に捉える子どもが少なくなった。 |
D.今の子どもたちの理解力が落ちている。 |
A.一つの動画を4時間ずっと見続けている。 |
B.4時間の動画をずっと見続けている。 |
C.一つの15秒程度のショート動画をずっと見続けている。 |
D.15秒程度のショート動画を何本も4時間見続けている。 |
A.ショート動画を見続けていること |
B.テレビゲームをやり続けていること |
C.ショート動画で物事に興味を失うこと |
D.ショート動画で集中力が低くなること |
A.若者を批判するのではなく、ショート動画を批判すべきだ。 |
B.ショート動画を責めるというより、やはり本人自覚の問題だ。 |
C.ショート動画のせいで子どもたちの学力や集中力が低下している。 |
D.インターネット全盛の現代では、若者への批判が深刻になってきた。 |
3 . 古文なんてもう使うことはないだろう……そんなふうに思っている人も多いのではないでしょうか。昔日本人が使っていた言葉や文章を勉強することで、今日本で使われている言葉や文章がより深く理解できるものだから、古文は勉強する意味があるのです。
例えば、一つクイズを出しましょう。現代において物事が終わる時に「けりをつける」という言葉を使います。では、この「けり」って一体どういう意味でしょうか?
これは実は、キックという意味の「蹴り」ではないんです。古文の中に助動詞で「けり」という言葉があり、古文の勉強でもよく文章の中には、「~にけり」のように、言葉の終わりに「けり」をつけることで「文の終わり」を示しているものがあります。今でも「けり」=「終わり」という意味で使われているのです。(ア)、古文を勉強すれば、現代の言葉を知ることにもつながるのです。
本来は今を生きる私たちの糧になるのが古文なのに、それを誰も伝えられないまま古文を勉強している人があまりにも多い。これは本当に悲しいことだと思います。この記事が、みなさんが「古文」という科目を捉え直すきっかけになってもらえれば幸いです。
1.文中に「そんなふうに思っている人」とあるが、それはどんな人か。A.古文を使わない人 |
B.古文を使いたい人 |
C.古文の勉強は重要だと思っている人 |
D.古文は勉強する必要がないと思っている人 |
A.キックする | B.何かを蹴る | C.結論を出す | D.効率を高める |
A.これから | B.このように | C.それなのに | D.そのうえに |
A.誰も古文の意味が分からなくて、伝えられないこと |
B.誰も古文を勉強したくなくて、伝えられないこと |
C.古文の重要性が分かっているのに、伝えられないこと |
D.古文を勉強しているのに、誰もその重要性を伝えられないこと |
A.今の日本語をできるだけ深く理解すべきだ。 |
B.糧である古文の重要性を再認識すべきだ。 |
C.今の日本語を勉強すれば、古文を知ることにつながる。 |
D.糧である古文を勉強している人が多いのは本当に悲しいことだ。 |
4 . 現代っ子の特徴は学校から家に帰った後、公園などで野球や縄跳び(跳绳)、かくれんぼ(捉迷藏)など遊びで筋肉(肌肉)を疲労させることがないことです。筋肉が疲労しないので、昔にはよくあった夕食を食べながら疲れて眠ってしまうようなことがなくなり、夜遅くまで電子ゲーム遊びをしてしまうことになります。これが、(ア)、そのうえの朝の食欲無しにつながり(导致)、朝食を食べない現象を増やす原因の一つにもなっています。
昔の子どもたちは、毎朝決まった仕事を与えられていました。例えば、布団を押入れに片付けたり、テーブルを拭いたりしなければなりません。それから、庭を掃除して、水を撒きます(洒水)。子どもたちは毎朝決まった仕事を与えられていました。
しかし、現代っ子は猫の額のような庭しかついていない住宅や、自分の部屋から居間の食卓(餐桌)まで十歩くらいで行けるようなマンションに住んでいる環境の中で、朝の仕事が与えられていません。朝起きて十分から十五分筋肉を伸縮させる運動でもあれば、朝食抜きの子どもへの心配などなくなるでしょう。
1.文章によると、現代っ子とはどのような子どもなのか。A.子どもらしい遊びが好きではない子ども |
B.放課後、遊びなどで体を動かない子ども |
C.公園の遊びより電子ゲームのほうが好きな子ども |
D.家庭毎朝決まった仕事を与えられない子ども |
A.早寝・早起き | B.早寝・遅起き | C.遅寝・遅起き | D.遅寝・早起き |
A.狭い庭 | B.かわいい庭 | C.静かな庭 | D.明るい庭 |
A.朝ご飯を食べなくて、体力がないから |
B.前の夜遅く寝て、朝早く起きられないから |
C.現代の家庭環境では朝の仕事がなくなったから |
D.子どもの勉強が忙しくなって、その仕事をする時間がないから |
A.昔の子どもは朝、家の仕事をしたので、朝食をとる時間がなかった。 |
B.現代の子どもは朝遅く起きて、ゆっくり朝食をとる。 |
C.昔の子どもは疲れていたので、朝、食事をする体力がなかった。 |
D.現代の子どもは身体を動かすことが少ないので、朝、食欲が出ない。 |
5 . 子どもが自分で考えられるよう手助けするのが大人の役割です。ケガをしそうなときや、命に危険があるときは家庭で真剣に叱る必要があります。でもそうでない場合、叱って言うことを聞かせると、自分の行動を振り返ることなく『叱られるのが怖いから言うことを聞く子』になります。これでは子どもが自分で考える機会を奪うことになり、親の顔色をうかがう子どもに育つ恐れがあります。
立ち止まらせ、まずは子どものやりたかった気持ちに共感することが肝要です。『水、気持ちよかったんだね』などと子どもの思いを受容してください。「やめなさい」は子どもにとっては強制終了を意味します。子どもは自分のやっていることをやめるのに相当のストレスを感じます。飛び立とうとしている飛行機を止める逆噴射くらいの力がかかります。これでは不満しか残りません。
(ア)棒を振り回していたとき、「危ないからやめようね」とだけ伝えるのではなく、「転んで目に刺さると血が出て目が見えなくなるかもしれない」などと、具体的なイメージを伝えるのもポイントです。次に自分で考えさせる言葉を投げかけます。「どうしたらいいかな?」と問い「ひもなら大丈夫かも」と子どもが決めたら褒めてあげます。
1.子どもが自分で考えられるよう手助けすることの目的は何か。A.子どもが自立心を育むため |
B.子どもがより従順的になるため |
C.子どもが親の顔色をうかがうため |
D.子どもが責任を持つことを学ぶため |
A.子どもを厳しく叱る |
B.子どもに自分で考えさせる |
C.子どもに具体的なイメージを伝える |
D.子どものやりたかった気持ちに共感する |
A.子どもが自分の行動を振り返る |
B.子どもが自分で考える機会を奪われる |
C.子どもが親の顔色を気にすることを避ける |
D.子どもが自分の欲望に無条件に従う |
A.子どもが親の顔色を気にするようにするため |
B.子どもが親の言うことに無条件に従うようにするため |
C.子どもが自分の行動を振り返るようにするため |
D.子どもがストレスを感じないようにするため |
A.でも | B.一方 | C.例えば | D.もちろん |
6 . 正しい仕事の任せ方というのは、一体どのようなものだろうか。
理想的なのは、部下の実力より少し上のレベルの仕事——部下が何とか自分の力で判断・実行することができ、時には小さな失敗を招くであろうレベルの仕事を任せることだ。
そういう仕事を段階的にレベルを上げながら与えていくことで、部下は着実には仕事力を磨いていくのだ。
ところが、そのような仕事を部下に与えたとしても、日本の会社では、「ホウ・レン・ソウ」(報告·連絡·相談)などといって、上司がいちいち部下の仕事に干渉しがちだ。そして結局は、部下に自分の力でハードルを乗り越えさせないことが多い。
( ア )、あるプレゼン資料を部下に作らせるとする。日本の会社の多くの上司は、全体像を示さず、ただ「こういうものを作れ」 と部下に曖昧に命じ、持ってこさせる。そして、「ここをこう直せ」と要求し、部下はその意図が分からないまま上司の指示通りに修正する。そんなことを何度も繰り返す。その結果、部下に身につくのは、エクセル(Excel)やらパワーポイント(ppt)の操作法だけということになる。これでは、レベルの高いプレゼン資料を自分で考え、つり上げる力はつかないだろう。
そうではなく、「この資料は、こういう目的で、こういう相手に対して、このように説得するために使用すべきだ。」その上で、見本を見せて、後は部下の創意工夫に任せ、部下に最善だと思う資料ができるまで口出しはしないことだ。
結果的に出来上がるものが、上司の想定するものと違うこともあるだろう。しかし、その資料を作る意図、全体像がつかめていれば、なぜいけないのか、どこが悪いのか、どう修正すればよくなるのかが分かるし、上司からの修正指示に納得もできるし、学ぶこともできる。
部下は、「いや、そういう目的なら、 自分だったらこうするけどな……」 と思うかもしれない。それならそれでいいのだ。そういうことを積み重ねながら、最終的には、部下は自分なりの仕事のやり方を確立していくはずだ。上司では考えられなかったようなレベルの高い資料を作ることも、いずれ(总有一天)はあるかもしれない。
1.文中に「正しい仕事の任せ方」とあるが、それは何を指すか。A.部下の実力以下の仕事を任せること |
B.部下の実力より少し難しい仕事を任せること |
C.部下にいちいち指導をしながら、仕事をさせること |
D.部下に援助をせずに、一人で全てをさせること |
A.ところで | B.すなわち | C.たとえば | D.ところが |
A.上司の命令が曖昧で、部下が意図が分からないままで仕事をすること |
B.部下にofficeツールの使い方しか教えないこと |
C.部下に正しい仕事の仕方を教えること |
D.部下が上司の命令もよく聞かずに盲目に仕事をすること |
A.部下からの資料が不合格なら、修正指示を出さないで、部下に自分で考えさせる。 |
B.部下からの資料が不合格でも、できるだけ褒めてあげる。それから自分で修正する。 |
C.部下に資料を作らせる時、見本を見せて、自分の考え方、創意などを教える。 |
D.部下に資料を作らせる時、資料の使い方、読む相手、目的などを詳しく説明する。 |
A.部下に干渉しすぎると、部下の成長に良くない。 |
B.部下にいい指導をやるなら、いずれ部下は上司を超える。 |
C.日々の積み重ねによって、部下は自分で正しい仕事のやり方を探し出せる。 |
D.上司からの指導が多いと、部下が文句があるかもしれない。 |
7 . 夢に本屋が出てきたことがある。書棚で何かを探しているのだが、( ア ) は昔故郷にあった小さな店なのだ。子供の頃から通っている。漫画雑誌の発売日に駆け込んでいた。文庫本の棚では好きな作家のおもしろさに出会った。
自分の中では、本屋の原型なのかもしれない。これからの子供たちには縁のない話になるだろうか。身の周りから書店がどんどん消えている。小さな街でも。そして大都市でも。
東京の赤坂駅周辺にいくつかあった一般書店が、全てなくなった。文教堂赤坂店では、店の前に従業員一同の名で紙が張り出されたという。「書店という事態は世の中に街に必要とされなくなっているのだろうか?」
インターネット通販は確かに便利だ。それでも書店に入るのは自分の感心を広げてくれる気がするからだ。書店員の「お薦め」に、こだわりを感じることがある。ネット通販の「あなたへのお薦め」では会えない本がある。
西曆79年、火山の噴火で滅びた古代ローマのポンペイ(庞贝) には、すでにこんな本屋があった。白く塗った壁に赤い文字がある。書かれているのは新作の発売日だったり、最新の翻訳版のお知らせだったりだ。
大げさに言えば、書店は人類の文明とともにあるのだろう。私たちの代で失われてしまうなんて絶対あり得ない。そう断言する自信が持てなくなるほどの書店消失が続いている。
1.文中の ( ア ) に入れるのに適当なのはどれか。A.ここ | B.そこ | C.あそこ | D.どこ |
A.今の書店では漫画雑誌などが少ないから |
B.書店より、今ネットで本を買うほうが人気があるから |
C.故郷では、書店はもうすべてなくなったから |
D.身の回りの書店はどんどん消えていくから |
A.書店がとても便利だから | B.書店は文化の証だから |
C.書店では感心を広げてくれるから | D.書店でこだわりが感じられるから |
A.それは世界初の書店だ。 | B.それは今の書店と似ている所がある。 |
C.それは火災でなくなった。 | D.そこの本は壁に書かれている。 |
A.書店は人類の文明そのものだ。 |
B.書店の価値は今もう消えてしまった。 |
C.書店の消失は残念なことだ。 |
D.書店は私たちの代で失う。 |
8 . S会社は、成人式を迎える若者 1 対象に、「時」に関するアンケート調査をした。大切な人に「一秒の言葉」を伝えると 2 (する)、誰に伝えたいかという質問に対して、男女とも「母」が一位に。最も伝えたい言葉は、「ありがとう」 3 60%を占めた。普段なかなか 4 (素直)に言えない新成人の本当の気持ちが分かる。また自分が言われたい「一秒の言葉」があるとしたら、誰に 5 (言う)たいかとの質問には、「恋人」が一位で41.5%、言われたい言葉は「好きです」が一位、続いて「友達」に「ありがとう」が2位となった。
また、あなたにとって最も価値のある一秒は、だれと一緒にいる時 6 と聞いたところ、一位は「一人でいる時間」、2位には「家族といる時間」が入った。誰にも 7 (しば)られず、自由な時間が大切だと思う一方、家族と過ごす時間も安心できると読み取れる。
続いて、大人になって、必要な「品物」は何と思うかという質問には、「時計」と答えた人は最も 8 (多い)。「時間を 9 (大切)したい」「携帯電話で時間を見るのはマナー違反」などの理由が挙げられた。
自分が総理大臣だったら、何に最も力を入れるかと聞いたところ、「景気・金融」が一位で、その次は「教育」「医療・福祉」「環境」「少子化」と続く。ニュースで話題になる問題への関心度が高く、将来への不安も読み取れる 10 (結果)になった。
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9 . 洋風化していない食事、つまり昔から食べてきた伝統的な和食のほうが健康によいと考える人たちがいる。しかし、伝統的な和食を食べていた時代の日本人は、けっして今のように長寿ではなかったし、健康でもなかったし、体格もよくなかった。日本人が健康で長寿になったのは、第二次世界大戦後に、主としてアメリカの影響で、日本人の食事が洋風化してからのことである。戦後、食事が急激に洋風化した約30年間で、日本人の寿命や体格は急に伸びたのだ。
健康と長寿に貢献する食事というのは、日本の伝統的な和食ではない。和食に乳製品や肉類の食料が加わり、野菜や果物の種類が豊富になった。そして、食塩の摂取量が減り、卵を毎日食べられるようになり、エネルギー(能量)が増えた。そのおかげで、日本人の健康度がのぼり、寿命も延ばしたのである。
伝統的な和食ではなく、このような栄養バランスに優れた食事を、研究者たちは日本型食事と呼んでいる。年代で言えば、昭和30年代から40年代に、平均的な日本人が食べていた内容なのだという。
(ア)、現代では、洋風化が行きすぎてしまい、理想的といわれている日本型食事よりも欧米型食事に近づきすぎているのだそうだ。それを少し戻すためには伝統的な和食のよさを取り入れる必要があるのである。
1.この文章で述べた日本人の寿命が延びた要因はどれか。A.第二次大戦後、食事の栄養バランスがよくなり、エネルギーが増えたから |
B.第二次大戦後、和食から洋食に完全に変わったから |
C.昭和30年代から40年代に、平均的な欧米型食事をとっていたから |
D.昔から今日まで、伝統的な和食を中心とした食事を続けてきたから |
A.それでは | B.また | C.つまり | D.しかし |
A.欧米型食事 | B.今の日本型食事 | C.伝統的な和食 | D.理想的な日本型食事 |
A.栄養パランスがよい食事が時代によって違う。 |
B.健康のために戦前の伝統的な和食に戻るしかない。 |
C.日本型食事は日本伝統的な食事よりも欧米型食事よりも栄養バランスがいい。 |
D.日本伝統的な食事が健康に悪いことが分かって、日本人は欧米型食事を選択したのだ。 |
A.伝統的な和食でも欧米型食事でも独自の良さがある。 |
B.エネルギーを取るには、やはり欧米型食事を取るほうがいい。 |
C.やりすぎの欧米型食事よりかえって伝統的な和食のほうが健康にいい。 |
D.今は欧米風の食事が多すぎて、バランスのために和食のいいところを取り入れるべきだ。 |
10 . 私の少年時代は、自然の中で小さい子供も年上の子供も一緒に群れて遊んでいた。これは(ア)1950年代半ばまでは日本ではごく普通に見られた日常の光景だった。子供が群れるのは一つの自然なのだ。
群れただけでなく、自分たちで遊びや喧嘩のルールを決めるなど、大人に干渉されない子供だけの自立した世界を作り上げていた。そこでの生活を通して、子供は生きていく上で大事な社会性を身に付けてきたわけだ。(イ)、高度成長を経て、子供を取り巻く環境がすっかり人工的になってしまった。自然が壊されて、身近にいた動物や昆虫、植物がいなくなっただけでなく、核家族と少子化が進み、「群れる」という子供の内なる自然まで失われたのだ。
家族や兄弟の少ない子供たちは、物余りと情報過多、そして、競争社会の中で、塾や習い事に忙しく追われ、家の中に閉じこもってゲームをしたり、テレビを見て過ごしたりしている。かってのように異年齢の子が群れて遊ばなくなったために、人生で一番重要な社会性を育む機会のないままに大きくなってしまうところに、今の教育の深刻な問題の要因があるように思う。
もはや自然発生的に群れて遊ぶことは無理である以上、大人が群れる場を仕掛けていくしかない。教育の現場では、すでにそれに気づいているところもあるようだ。例えば、小学校では、同級生だけで遠足に行くのをやめて、1年から6年までの小集団単位で行くとか、給食のときには、一つのテーブルに1年から6年までが一緒に座り、6年生の子が箸の持ち方を教えたり、「後片付け!」と指導したりする。上の子が言うほうが先生が言うよりずっと効果がある。
1.文中の(ア)に入れるのに最も適当なものはどれか。A.私に限ったことで | B.私に限ったことではなくて |
C.子供に限ったことで | D.子供に限ったことではなくて |
A.しかし | B.たとえば | C.また | D.ところで |
A.子供の身近にいる動物や昆虫や植物のこと |
B.大人に干渉されない子供だけの自立した世界を作り上げること |
C.家で1人でゲームをしたり、テレビを見たりする子供の集中力のこと |
D.塾や習い事に通い、ほかの子供に負けたくないと言う競争意識のこと |
A.今の子供が昔のように群れて遊ぶ事は無理であること |
B.核家族、少子化は子供の教育に深刻な問題をもたらすこと |
C.大人になると、社会性を身に付ける機会がなくなってしまうこと |
D.大人が子供の群れる場を作ってあげなければならないこと |
A.先生は言わないで上の子が指導するというルールを先生が作ったから |
B.小集団の遠足に先生は行かないので、上の子が指導しなければならないから |
C.違う年齢の子がいる子供社会では上の子の教えを聞くのがルールだから |
D.上の子は塾や習い事に忙しく、早くしないと次のことができないから |