1 . いつものことだが、家で一人、仕事をしている私は、気分転換のために近くの本屋へ行く。駅前の少し大きな本屋なのだが、最近おもしろいことに気が( ① )。
店内をゆっくり歩いて、辞書のコーナーに行くと、思わず「ウーン」とうなってしまった。私が学生だったころ――30年ほど前のことなのだが――は、こんなに多くの辞典はなかった。学習辞典や外国語の辞典がほとんどで、しかもその外国語辞典は、英語が中心であった。
②本屋の主人に言わせると、最近はちょっとした辞典ブームだそうである。何でも辞典になるというのだ。学習辞典や外国語辞典など、以前からあるものはもちろんだが、食べ物から動物、ファッション(時装)、スポーツ、メーキャップ(化粧)、オーディオ、インテリアやマナーなど、いろいろな辞典が③びっしりと並んでいる。④これらはもちろん「事典」なのだが、国語辞典にしても、種類がとても( ⑤ )。英語の事典など、大少を含めて20種類くらいはある。もちろん、もっと大きな本屋なら、とても⑥これだけではすまないだろう。
どうしてこんなに多くの辞典が作られるのだろう。帰る途中、私はあれこれと考えてみた。そして、ああ、なるほどと思ったことがある。それは、よく言われる情報化社会の生んだものだという( ⑦ )だ。進歩の速い世の中に、人々の知識や意識がついていけなくなっているのである。その⑧どうしようもない差をうめるのに、辞典は便利で役に立っているのだろう。そう言えば、私もいいものが書きたくて、この一冊の辞典を買いに来たのだった……。
1.( ① )の中に何が入りますか。A.した | B.あった | C.かかった | D.ついた |
A.本屋の主人に話してみると |
B.本屋の主人の話によると |
C.本屋の主人に話をさせると |
D.本屋の主人が話をさせると |
A.駅前にはビルがびっしりと建っている。 |
B.雨が朝からびっしりと降っている。 |
C.人々が電車の中でびっしりとテレビを見た。 |
D.昨日は一日中びっしりとテレビを見た。 |
A.辞典ブーム |
B.食べ物や動物、ファッションなどの辞典 |
C.学習辞典や外国語辞典 |
D.国語辞典や英語の辞典 |
A.大きい | B.広い | C.多い | D.深い |
A.辞典ブームで何でも辞典になること |
B.食べ物や動物、ファッションなどいろいろな辞典があること |
C.国語辞典に、いろいろな種類があること |
D.英語の辞典が20種類くらいあること |
A.こと | B.もの | C.とき | D.ところ |
A.私の考えが、どうしても帰る途中でまとまらなかったこと |
B.今と30年前とでは辞典の数がぜんぜん違っていること |
C.世の中の進歩が速すぎて、人々がそれについていけなくなっていること |
D.情報化社会が私たちの社会とかなり違ったものになってしまったこと |
2 . 高校時代の三年間は、毎日が小さな旅だった。一時間かけての電車通学。ひとつずつ止まる駅には、それぞれの表情があった。始発の武生を出て四つ目に上鯖江という駅がある。いつもそこから乗ってくる親子がいた。足が不自由らしい少年を、かなりの年配と見うけられる母親がおぶってくるのである。
田舎の電車とはいえ、一応朝のラッシュ時である。武生駅でほぼ座席は埋まってしまい、二つ目以降の駅で乗る人はみな立つことになる。通勤や通学の人間がほとんどなので、なんとはなしにそれぞれの定位置があって、互いに言葉こそ交わさないが、その時間のその車両での顔見知りといった関係になる。
どんなに混雑していても、上鯖江まで空いている座席があった。二両目の真ん中あたり。そこが少年をおぶってくる母親の定位置なのである。はじめのうちは、乗ってくるたびに誰かが席を譲っていたのだろう。が、そこに乗りあわせる人たちの暗黙の了解みたいなものがいつのまにかできて、どんなに混みあってもその席には座る人はいなかった。
座席の色が違うわけでもない。「お年寄りや体の不自由な人に席を譲りましょう」そんなシールがでかでかとはってあるわけでもない。お互いに名前も知らない。何をしているのかも知らない。( ① )一日の中のある時間を共有している。そこから生まれた不思議なつながり。そこから生まれたシルバーシート。
高校を卒業してから七年になる。あの電車に乗りあわせる人々の顔ぶれもずいぶん変わったことだろう。今でも上鯖江で、あの親子は乗ってくるのだろうか。ならば今でも上鯖江まで、あそこの席は空いているのだろう。二両目の真ん中あたり。
1.「乗りあわせる人たちの暗黙の了解みたいなもの」とあるが、どういうことか。A.どんなに混雑していても、上鯖江まで空いている座席があったこと |
B.そこが少年をおぶってくる母親の定位置であること |
C.お年寄りや体の不自由な人に席を譲ること |
D.少年をおぶってくる母親が上鯖江から乗ってくること |
A.その電車に乗る人たち |
B.親子と筆者 |
C.筆者とその電車に乗るほかの人たち |
D.親子とその電車に乗るほかの人たち |
A.ところで |
B.それに |
C.けれど |
D.それで |
A.武生始発の電車 |
B.上鯖江まで空いている座席 |
C.一日の中のある時間を共有していること |
D.上鯖江という駅 |
A.朝のラッシュ時、電車は通勤や通学の人間がほとんどである。 |
B.二つ目以降の駅でその電車に乗る人は、みな立たなければならない。 |
C.少年をおぶってくる母親が上鯖江から乗ってくるたびに、誰かが席を譲っていた。 |
D.どんなに混雑していても、二両目の真ん中あたりの席がいつまでも空いている。 |
3 . 暖かな師走の一日、小さな墓地の横を散歩していた。
と、身の丈に余るほうきで、墓の周りを掃いている男の子がいた。近付いて「ボクえらいね。だれのお墓?」と聞くと、「母さんの」と答えた。上着に小2の名札がある。
「魂のすみかと信じいるごとく7歳の子は母の墓掃く」。何かの本に載っていた、心を揺さぶられた短歌を思い出した。
そこへ桶に花束を入れた父親が現われた。頭を下げ「いじらしいですね」というと、「雨の日、この子の雨靴を持って学校へ行く途中、車にはねられました。33歳でした」
私は若いお母さんの墓に手を合わせた。父親と並んで立った少年が「ありがとうございました」ときっぱり言う。
クリスマス、お正月と子供にとって楽しい季節がやってくる。( ① )、この子には母親を思い出す悲しい日々になるだろう。
男の子に「元気を出してお父さんと仲良くね」と声をかけ、墓を後にした。
いい話だ。しかし、それにしても以前見たことがある短歌とそっくりのシーンが目の前に展開した、そのことに驚く。きっと偶然なんだろうけど、ちょっと出来過ぎた話だ、なーんて思ってしまうのは私のひねくれた根性です。
(朝日新聞「天声人語」2001年による)
1.「師走」とは何月か。A.正月 | B.四月 | C.六月 | D.十二月 |
A.ところで |
B.それに |
C.でも |
D.それで |
A.墓の後ろへ行った。 |
B.墓の後ろを掃除した。 |
C.墓の後ろに立った。 |
D.墓から離れた。 |
A.少年は父親と一緒に墓の前に並んで立ったシーン |
B.男の子が母の墓の周りを掃いているシーン |
C.私は若いお母さんの墓に手を合わせるシーン |
D.何かの本に載っていた心を揺さぶられた短歌を思い出したシーン |
A.ほかの子供にとって楽しい季節が、この子にとって母親を思い出す悲しい日々になること |
B.暖かな師走の一日、男の子が墓の周りを掃いていたこと |
C.「魂のすみかと信じいるごとく7歳の子は母の墓掃く」という短歌を思い出したこと |
D.以前見たことのある短歌とそっくりの場面を見たこと |
4 . 「織姫と彦星は離れ離れになって当然だよ。仕事もしないで遊んでばっかりなんだもん。しょうがないよ!」
「え?言われてみればそうだけど……」
子どもたちに七夕のお話を聞かせてあげると、①こんな感想を言う子がいた。「ちなみにぼくはね、落し物を探すのが得意なんだ。だから将来は刑事になる!落し物で困った時はいつでも呼んでね。」と、七夕の感想から続けて②話してくれた。
今晩は知的障害の子どもたちが集まる福祉施設での星空観望会。プラネタリウム解説員という仕事柄、星や宇宙のことなら少しは話せるので、仕事とは別に福祉園で星空案内人として星座解説のボランティアを始めた。
小学生の頃から宇宙の世界に憧れ、渋谷のプラネタリウムに通った。③そんな子どものお願いがちゃんと星まで届いたのか、今は博物館のプラネタリウムで「皆さんが見ていますこの明るい星は……」と解説している。
天気のいい晩は福祉園の庭で星空を眺めながら星座のお話をする。そして、すぐにいろいろな質問が飛んでくる。
「どうして星は光っていないといけないの?」
「どうして星はいっぱいいないといけないの?」
「どうして隕石って固くないといけないの?」
「ん~、え~とっ、それはね……(今晩の質問も手強いなぁ)」
「ジャンケンでパーはグーより強いのはなんで?」
「えっ、ええっ?」
子どもたちが日ごろ抱えている素朴な疑問に突然飛んだ。そんな質問もあるの?というような他の子どもたちからの視線を感じたとたん、さらに難しい質問が次々と……。
私の左手の薬指を見て、その子は聞いた。
「どうして男なのに指輪をしてるの?」
「結婚しているからね。」
「どうして結婚する必要があるの?」
質問するほうも一生懸命、質問されるほうも一生懸命、どちらも通じ合おうと必死である。「どうしてわたしにはお母さんがいるのに、なかなか会いに来てくれないの?」
私の答え方がいけなかったのか、その子は素朴な質問でもするかのように言った。それは質問ではなく、心配事だった。詳しいことは分からないが、施設に入園している子どもたちにはいろいろな家庭の事情があるらしい。
「じゃ、早く会えるように、お星様にお願いしようか!」
てのひらを合わせ、肌寒い晩秋の澄んだ星空に向かって、いっしょにお願いをした。考えてみるとお願い事というのはいつも、家庭や自分のことばかり。でも、今晩はちょっと違う。好きな宇宙の仕事へ進みたいな、というお願いが星に届いたんだから、このお願いもすぐに叶うだろう。
「あっ、お星様!それからもう一つお願い。あの子が将来、いい刑事さんになれますように……」
(村山孝一「おほしさま」『第14回NTTふれあいトーク大賞優秀作品集』NTT 出版による)
1.①「こんな感想」とあるが、何についての感想か。A.仕事についての感想 |
B.七夕についての感想 |
C.遊びについての感想 |
D.刑事についての感想 |
A.筆者が子どもに話した。 |
B.子どもが筆者に話した。 |
C.子どもが仲間に話した。 |
D.筆者が友達に話した。 |
A.男の子が将来刑事になりたい願い |
B.筆者の好きな宇宙の仕事に憧れた願い |
C.博物館のプラネタリウムの解説員になる願い |
D.子どもたちが自分のお母さんに会える願い |
A.子どもたちを施設に入園させる家庭にはそれなりの苦情があることが分かる。 |
B.子どもたちの質問は無邪気で素朴であるが、手強いところがあることが分かる。 |
C.親に捨てられた子どもたちが産んでくれた親のことを恨んでいることが分かる。 |
D.筆者が知的障害者に対して全然関心を持っている親たちを責めることが分かる。 |
A.子どもたちの願いをみな叶えさせてほしい。 |
B.一日も早く正式な解説員にさせてほしい。 |
C.子どもを福祉園に入れた親が来てほしい。 |
D.社会全体が知的障害者を助けてほしい。 |
5 . ここ数年、わたしにはクジラと象を撮影する機会がとても多かった。特に意識的に選んだつもりはないのに、結果としてそうなってきた。理由を考えてみると、これは、クジラや象と深く付き合っている人たちが皆、人間としてとても面白かったからだ。
人種も職業もそれぞれ異なっているのに、彼らには独特の共通した雰囲気がある。彼らは、クジラや象を、自分の知的好奇心の対象とは考えなくなってきている。クジラや象から、何かとてつもなく大切なものを学び取ろうとしている。そして、クジラや象に対して、畏敬の念を抱いているように見える。
人間がどうして野生の動物に対して畏敬の念まで抱くようになってしまうのだろうか。この、人間に対する興味から、わたしもクジラや象に興味を抱くようになった。そして、自然の中でのクジラや象との出会いを重ね、彼らのことを知れば知るほど、わたしも、クジラや象に畏敬の念を抱くようになった。
今では、クジラと象は、わたしたち人類にある重大な示唆を与えるために、あの大きな体で(現在の地球環境では、体が大きければ大きいほど生きるのが難しい)数千万年もの間この地球に生き続けてきてくれた、とさえ思っている。
大脳新皮質の大きさとその複雑さから見て、クジラと象と人はほぼ対等の精神活動ができると考えられる。( ア )、この3種類は、地球上で最も高度に進化した「知性」を持った存在だといえる。実際、この3種類の誕生から、成長過程はほぼ同じで、あら冲る動物の中で最も遅い。1歳は1歳、2歳は2歳、15、16歳でほほ一人前になり、寿命も60、70歳から長寿のもので100歳まで生きる。
1.文中に「そう」とあるが、その指すことはどれか。A.クジラや象を撮影する機会がとても多くなってきた。 |
B.クジラや象を意識的に選んで撮影するようになってきた。 |
C.クジラや象と深く付き合うようになってきた。 |
D.クジラや象を人間として面白くなってきた。 |
A.クジラと象と人がよく似た雰囲気 |
B.クジラや象に対して、知的な好奇心を感じている雰囲気 |
C.クジラや象に畏敬の念を抱いているような雰囲気 |
D.クジラや象を愛するあまり、人間を嫌悪する雰囲気 |
A.ところが | B.いっぼう | C.なぜなら | D.すなわち |
A.だいたい成人前になる | B.だいたい成人になる |
C.だいたい一人の分が食べられる | D.だいたい一人の前で食べられる |
A.クジラと象は人間に対して畏敬の念を抱く |
B.野生動物は体が大きいほど精神活動が複雑になる |
C.クジラと象と人は地球上で最も高度に進化した「知性」を持っている |
D.クジラと象は人間の成長より遅い |
6 . もともと、日本人は詩との出会いがよくないと思う。
大多数の人にとって、詩との出会いは国語教科書の中だ。はじめての体験、新しい魅力、感じとるべきことが多すぎて、詩歌などゆっくり味わう暇のない年齢のうちに、強制的に詩を与えられる。それを「よいもの」「美しいもの」として「読み解くべきもの」だと教えられる。そして、この行にはこういう技巧が使ってあって、それが作者のこういう感情を効果的に伝えている、などと解説される。それが終われば理解度をテストされる。
こんな出会いで詩が好きになるわけないと思う。子どもの大好きな漫画だって、こんなこちこち(僵化)のやり方で技巧を解説され、「解釈」を定められ、学期末のテストで「作者の伝えたかったこと」を書かせられたら、みんな退屈になるにちがいない。詩を読む時の心理的ハードル(难度)はこうして高くなるのだ。
人が何かを突然好きになり、その魅カが感じられる時、その対象の「意味」や「価値」を考えたりはしないものである。意味など分からないまま、ただ格好いい、かわいい、おもしろい、目が離せない、と思うのがあたりまえである。
詩とはそのように出会ってほしい。
1.文中の「それ」は何を指すか。A.詩 | B.魅力 | C.体験 | D.教科書 |
A.詩歌の作者 | B.大多数の読者 | C.国語の教師 | D.詩を読む生徒 |
A.詩の美しさ | B.生徒の年齢 | C.作者の感情 | D.作者の技巧 |
A.解釈が自由だから | B.理解する暇がないから |
C.詩歌ほど面白くないから | D.解説の仕方がこちこちだから |
A.詩の魅力を感じてほしい。 | B.詩の価値を考えてほしい。 |
C.詩の意味が分かってほしい。 | D.詩の技巧が分かってほしい。 |
7 . 春の若葉や新緑の森の美しさと共に、夏の濃緑がすんだ後の秋の森の紅葉の景色も何れ劣らぬ(不相上下)自然のほこりです。日本には背から紅葉の名所が多く、また、至るところに紅葉を見ることができます。
関東では日光や塩原、関西では京都の嵐山、高尾などは有名なものです。一体どうして木の菓がそんなに赤くなるのかと言いますと、それは秋になると急に涼しくなる、その気候の変化のために、葉緑素が次第に変わってきて、葉の中の細胞内に紅色の液体ができるからです。
紅葉の美しさは、植物そのもの種類と、その発生の状態とで(ア)異なりますが、一面には付近の景色にも左右されるものです。青々と茂った松や紅菓などの常緑樹の間に染まった紅菓は色の配合で紅色がきわだって、照り映え、また湖や沼や渓流を前にしても、やはり一段と美しく見えます。
1.文中に「自然のほこり」としていくつ例を挙げられている、合っていないものはどれか。A.春の若葉 | B.新緑の森 | C.秋の紅葉 | D.冬の雪 |
A.松や紅菓などの常緑樹の間にあるから。 |
B.秋になると気候の変化のために色も変わったから。 |
C.湖や沼や渓流を前にあるので色が赤くなったから。 |
D.付近の景色に左右されるので色が変わったから。 |
A.べつべつ | B.いよいよ | C.それぞれ | D.どんどん |
A.植物の種類とその発生の状態とだけで、美しさは異なる。 |
B.植物の種類とその発生の状態に加えて付近の景色によっても美しさは異なる。 |
C.付近の景色が異なると、紅葉の美しさも異なる。 |
D.紅薬は常緑樹の間にあるからこそ美しい。 |
A.日本は昔から紅葉の名所が多くて至るところに紅葉を見ることができる。 |
B.気候と共に木の菓の菓緑索が次第に変わってきて青くなった。 |
C.紅菓の美しさは付近の景色に左右されるものだ。 |
D.紅薬は湖や沼や渓流を前にもっと美しくなる。 |
8 . ポチの鳴き声でぼくは目が覚めた。
ねむたくてたまらなかったから、うるさいなとその鳴き声を怒っているまもなく、真っ赤な火が目に映ったので、驚いて両方の目をしっかり開いて見たら、戸だな(橱柜)の中じゅうが火になっているので、①二度驚いて飛び起きた。そうしたらぼくのそばに寝ているはずのおばあさまが何か黒い布のようなもので、夢中になって戸だなの②火をたたいていた。
(中略)
「おばあさま、どうしたの?」と聞いてみた。
おばあさまは戸だなの中の火の方ばかり見て答えようともしない。部屋の中は、障子も、壁も、床の間も、違いだなも、昼間のように明るくなっていた。おばあさまの影法師(人影)が大きくそれに映って、化け物(怪物)か何かのように動いていた。
ただおばあさまがぼくに一言も物をいわないのが変だった。急に唖になったのだろうか。そしていつものようにはかわいがってくれずに、ぼくが近寄ってもじゃま者扱いにする。
(中略)
火事なんだ。おばあさまが一人で消そうと思っているんだ。③それがわかるとおばあさま一人ではだめだと思ったから、ぼくはすぐ部屋を飛び出して、おとうさんとおかあさんとが寝ている離れの所(离开主建筑的独立建筑物)へ行って、
「おとうさん……おかあさん……。」と思いきり大きな声を出した。
ぼくの部屋の外で鳴いていると思ったポチがいつのまにか(不知不觉)そこに来ていて、きゃんきゃんとひどく鳴いていた。ぼくが大きな声を出すか出さないかに、おかあさんが寝卷き(睡衣)のままで飛び出してきた。
「どうしたというの?」とおかあさんは内緒話のような小さな声で、ぼくの両肩をしっかり押さえてぼくに聞いた。
「たいへんなの……。」
④「たいへんなの、ぼくの部屋が火事になったよう。」と言おうと思ったが、どうしても「たいへんなの。」きりであとは声が出なかった。
(有島武郎「火事とポチ」)
1.「①二度驚いて」はいつといつか。A.目が覚めた時とねむたくてたまらなかった時 |
B.起きた時と戸だなを開けた時 |
C.ポチを見た時とおばあさまを見た時 |
D.真っ赤な火が目に映った時と戸だなの中の火を見た時 |
A.おばあさまが料理をするために |
B.ポチが火事を知らせるために |
C.おばあさまが火を消すために |
D.ポチが怪物と戦うために |
A.ポチがいつのまにかそばに来ていること |
B.おばあさまが火事を起こしたこと |
C.離れにお父さんとお母さんがいること |
D.おばあさまが火事を一人で消そうと思っていること |
A.ねむくてたまらない様子 | B.ショックを受けている様子 |
C.感動している様子 | D.おもしろがっている様子 |
A.ポチは鳴き声で火事のことを知らせた | B.ポチはうるさい犬だ |
C.おばあさまが急に唖になった | D.普段ポチは僕のそばに寝ている |
9 . 昔、楚国に非常に貴重な真珠を手に入れた男がいた。彼はそれを売ってお金を儲ける(赚)つもりだった。真珠がいっそう貴重に見えるために、彼は真珠にふさわしい櫃(椟,木盒)を作りました。それは表面にきれいな模様が彫られていたし、五色の石と素敵な羽の毛で巧みに飾られていたものだった。まごとにそれ以上見事な櫃はないということだった。
男は真珠を櫃の中に入れ、両手で捧げながら市場へ売りに行った。ある鄭国からの男はそれを見たとたん、すぐにまぶしい(光彩夺目)ほどきれいな櫃に気を引かれてしまった。それで、櫃を持って真剣に見た後、大変気に入ったので、つい高い値段で買い取った。鄭国の人は櫃を開けたら、ぴかぴか輝いていた真珠が見えた。しかし、彼は真珠に興味がなさそうに、それを取り出し、売主に渡り返してしまった。( ア )、空っぽな櫃を持つてとっさに(立刻,马上)姿が消えてしまった。
しばらくの間、売主はそれはいったい何なのだろうかとわけが分からなかった。最後、彼は真珠を見つめながら、溜息を吐いた。「もし、人々はみんなこの買主のように、ただ外見を重んじて中身を軽んじるなら、気の毒な真珠よ、もしかしてお前は埃の中に埋められるよりよい運命はないだろう。」と独り言を言った。
1.文中の楚国の男の人が真珠を売ろうとしたのはなぜか。A.櫃を売るから | B.櫃を買うから |
C.お金を儲けるから | D.もっと貴重な真珠を手に入れるから |
A.もっとも高い櫃である。 | B.本当にすばらしい櫃である。 |
C.思ったよりきれいな櫃である。 | D.真珠ほど珍しくない櫃である。 |
A.櫃がきれいで好きだから | B.櫃の中の真珠を手に入れたいから |
C.櫃がまぶしくて高いから | D.櫃を高い値段で他の人に売りたいから |
A.さて | B.それから | C.ちなみに | D.また |
A.真珠が買主の不注意で壊されたから |
B.櫃があまりにも美しくて、売り惜しんだから |
C.真珠が思ったとおりに高い値段で売り出せなかったから |
D.買主は櫃の外見に引かれ、真珠の本当の価値を見失ったから |
10 . 日本の一年には春と夏と秋と冬の四つの季節があります。
春は暖かくて、いい季節です。花がたくさん咲いてきれいです。私は四月にお花見に行きました。
夏はたいへん暑くて、私はあまり好きではありません。雨がよく降ります。梅雨と言います。
若い人たちは海や山へ行きます。あの有名な富士山にもたくさんの人が登ります。私も今年登りたいです。
秋は静かで、涼しくて私は大好きです。秋の空はたいへん美しくて、月もきれいです。
日本の冬はたいへん寒くて、北のほうではたくさん雪が降ります。東京や京都でもときどき降ります。しかし、若い人たちは雪が降るとスキーに出かけます。
私の国では夏はあまり暑くなくて、冬は暖かいです。
1.この人はどの季節が好きですか。A.春 | B.夏 | C.秋 | D.冬 |
A.いいえ、夏に登ります。 | B.毎年登ります。 |
C.いいえ、登ったことがありません。 | D.はい、あります。 |
A.勉強します。 | B.スキーに行きます。 |
C.旅行します。 | D.花見に行きます。 |
A.美しいです。 | B.暑いです。 |
C.静かです。 | D.涼しいです。 |
A.はい、同じです。 | B.まったく違います。 |
C.分かりません。 | D.少し違います。 |